働き方を変えたい女性のための起業スクール「LIBERTY」を運営するOutgrow Japan株式会社では、「人の可能性を証明する」という理念の下、スクール事業以外にも数々のビジネスにチャレンジしています。
「脱毛サロン事業」は、自社で2022年より本格的にスタートした事業のひとつです。前編では、開業支援パッケージを利用した脱毛サロンオープン後の様子をご紹介。その後も黒字化を目指して試行錯誤を続けてきましたが、2023年秋に閉店の運びとなりました。
オープンから約1年半、サロン運営にはどのような苦労や厳しさがあったのでしょうか。今回、閉店を決めた理由を中心に、今後の展望とあわせてOutgrow Japan代表のやまもと社長にお話を伺いました。
目次
脱毛サロン閉店に至った背景と理由
オープン以来、黒字化を目指して営業を続けてきた自社の脱毛サロン。今回、なぜ閉店することになったのか、その決断の裏にある率直な思いをやまもと社長に伺いました。
―― このたび、自社で運営されていた脱毛サロン「Malu」を閉店するそうですね。この決断に至った背景や理由についてお聞かせいただけますか。
最も大きな理由は、オープン以来、売上が思うように上がっていかなかったことです。負債事業になっていたため、いつまで続けるかに関しては少し前から検討していました。
約1年半、黒字を目指して運営してきましたが、結果的には実現できなかったということです。また、このまま続けても黒字にすることは難しい状況であり、見込みがないと考えたため、撤退を決めました。
―― 黒字化につながらなかった一番の要因は、どこにあるとお考えでしょうか。
僕自身、リスクをとりきれなかったこと。これが失敗につながったと思っています。今回、最も厳しかったのは「集客」の面でした。なぜ思うように集客ができなかったのかというと、サロンの営業日数を「週3日」に限定していたことが大きいと考えられます。
―― 営業日を「週3日」に限定していたのはなぜですか?
一般的に、サロンのような店舗を新規開業する際には、オープン直後は週7日フルで店を開けておく。そうすることで、とにかく集客の機会を広げるやり方がスタンダードとされています。
ですが、今回あえて「週3日営業」にしていたところに、僕がリスクをとりきれなかった一面が表れています。もっと具体的にお話しますね。今回のサロンは、僕はオーナーのような立ち位置となり、店長はLIBERTYメンバーさんの中からやりたい人を募る形で、選出したメンバーさんに務めてもらっていました。
ただ、オープン直後から売上が上がるとは限りません。売上が思うように上がらなければ、当然ながら人件費の支払いも難しくなってしまいます。そのリスクを考慮し、店長には別の仕事と並行する形で、サロン営業に携わってもらっていました。つまり、店長には別の仕事で生計を立てられる状況にしてもらい、サロンを並行して軌道にのせていきましょう、といった計画にしていたわけです。
―― なるほど。その「週3日」の計画がうまくはまらなかった、ということでしょうか。
結果としてそういうことです。僕自身の一番の反省点は、たとえ売上が上がらない状況であっても、店長にはサロン営業に集中してもらうことが必要だったなということ。いつお客さんが来ても対応できるように、店長には常駐分の対価を払って動いてもらうべきでした。ですが、そこまでのリスクをとってやりきれず、営業日を増やせず、結果的に集客できず…。そんな負のスパイラルを作ってしまったと思っています。
試行錯誤の末に見えた気づき・反省点とは
Outgrow Japanにとって、初の店舗型ビジネスであった今回のサロン開業。売上を上げるためにさまざまな試行錯誤を繰り返した先には、どんな気づきや反省点が見えたのでしょうか。
―― オープンから1年半、黒字化のために、さまざまな試行錯誤を繰り返されたのだと思います。
そうですね。店舗型ビジネスは初挑戦でしたから、とにかく黒字化を目指す中で、さまざまなノウハウを蓄積したいと考えて行動してきました。
前回もお話しましたが、そもそも自社でサロンを運営しようと考えたのは、「クレミール」という、脱毛サロン開業のフランチャイズパッケージ商材を販売するためでした。高単価商材ですから、まずは自社で実際に取り扱ってみて、サロン営業のビジネスモデルやノウハウを蓄積したいと考えていたのです。
実際、フランチャイズで教えていただいた集客方法にも取り組んでみたものの、今回は思うようにいかなかったのが実情です。ですが、他のフランチャイズオーナーさんは順調に運営できている方も多いので、自分たちのやり方のどこかに問題があったのだと思います。その根本的な問題点が、はたして営業日なのか、立地なのか、それとも訴求方法がズレていたのか。この点に関しては、現在のところ明確には見出せていません。
―― 訴求についても、いろいろな方法を試されたのですか?
はい。チーム組んでインスタ投稿に力を入れてみたり、ターゲット層を脱毛サロンに慣れていない方向けにしてみたりと、いろいろな方向性で訴求しました。ただ、なかなか成果につながりませんでした。
失敗をもとにLIBERTYや他事業のさらなる発展を目指す!
脱毛サロンは惜しくも閉店となりましたが、「失敗経験から学び、成長のために次へつなげる姿勢」こそ、LIBERTYが大事にしている価値観のひとつでもあります。
Outgrow Japanは現在進行中の他事業も含め、引き続き新たなチャレンジを続けていきます。今後の展望について、やまもと社長のお考えを聞かせていただきました。
―― 脱毛サロン事業については、今後も別店舗の開業など、何か計画されているのですか?
店舗運営については、この先にまた自分自身が事業としてやるかどうかは未定です。必要があればまたチャレンジしますが、現時点では決めていません。
ただ、LIBERTY受講生には店舗型のビジネスを手掛けている方もいらっしゃいます。そういったメンバーさんの売上アップをサポートするために、これまで以上に「店舗型ノウハウ」を蓄積したいと強く考えています。
今回、自社の脱毛サロン運営はあまりうまくいかなかったですが、何も得られなかったわけではありません。むしろ、「黒字化を目指してさまざまな取り組みをしたけれど、それらが良い結果につながらなかった」という貴重な経験・情報が手に入りました。直近では、この失敗談をもとに「こういう進め方をしたらダメだよ」といったような話を、LIBERTYのカリキュラムの中で伝えていくつもりです。
―― 自社の事業で培ったものが、すぐにLIBERTYにも活かされていくのですね!
もちろんです。LIBERTYのメンバーさんたちは「働き方を変えたい」と思って日々頑張っていますが、働き方は多様です。僕は、事業を通して皆さんにさまざまな働き方の選択肢を提示し、個々の夢を実現できるようにサポートしたいと考えています。失敗も含め、各事業で培った多様なノウハウは即LIBERTYに還元します。
今後も店舗型ビジネスに取り組んでいる方々のノウハウを積極的に集めていき、うまくいくもの・うまくいかないものを整理し、確かな成果を出すことにつなげたいです。
―― 最後にもうひとつお聞かせください。「事業撤退」は、経営上の大きな決断になると思います。やまもと社長は、今回の撤退に大きな迷いはなかったですか?
もちろん熟考しましたが、経営者として「損切りすること」は非常に大事だと思っています。僕の先生にあたる方からも、「やまもと社長、撤退できるかどうかは大事ですよ」とよく言われていました。
負債事業にもかかわらず、その事業にこだわり過ぎて労力を割いていると、他の事業にも悪影響をおよぼしかねません。今後も多様な事業を展開していくにあたっては、まず自分自身が得意なこと・強いところを踏まえたうえで、そのビジネスが本当に資産としての価値があるのかを考えます。
そして、そこに自分のお金や時間を割く必要があるのかどうかを考えたときに、もし「ない」と思うのであれば、たとえば情だったり、サンクコスト(※)だったりに負けず、前向きに損切りをしなくてはならないと考えています。
※サンクコスト(sunk cost)
既に投資した事業から撤退しても回収できないコストのこと
―― ありがとうございます!前向きに未来を見据えていらっしゃる様子がよく伝わりました。
今回の閉店で、脱毛サロン事業だけに関していえばお金はマイナスになりましたが、気持ちはまったくマイナスではありません。LIBERTYのメンバーさんにはいつも言っていますが、失敗から学べることは、ものすごく多いです。そして、自分の失敗を次にどう活かすかで、どれくらい成長・成功できるかどうかが決まります。
一皮も二皮もむけた状態で進んでいこうと、今はそのような思いです。引き続きLIBERTYを含め、各事業の発展に向けて邁進していきます!
まとめ
今回、Outgrow Japanでは「脱毛サロンの閉店」という一つの区切りを迎えました。オープン当初に描いていた結果にはなりませんでしたが、挑戦したからこそ気づけたこと、学べたものがたくさんあったと、やまもと社長は話します。
Outgrow Japanでは現在、ほかにも海外EC事業や広告代理事業など、さまざまな事業の発展を目指して全力で動いている真っ最中。今後も失敗を恐れず、価値ある人材の輩出のためにチャレンジを継続します。
そして各事業で得た貴重な情報やノウハウをもとに、一人でも多くのLIBERTY受講生が理想の未来に向かって進めるよう、引き続きサポートしていきます!