自己肯定感とは?自己肯定感が低い人の特徴と高める方法について解説

価値観の多様化や働き方の選択肢の広がりにより、自由な生き方を実現しやすくなった現代社会。しかしながら、「自己肯定感の低さ」から自分のことが好きになれず、思うように毎日を楽しめない人もいるのが実情です。

この記事では、自己肯定感が低い人の特徴と、自己肯定感を高める方法について解説します。何となく自分に自信がもてない、何事もネガティブに考えてしまう…などで悩んでいる人は、参考にしてみてください。

目次

自己肯定感とは何か

自己肯定感は、最近注目を集めている言葉ですが、具体的にどのようなことを指すのでしょうか。自己肯定感とは何か、また似た言葉の「自己効力感」との違いについて説明します。 

自己肯定感とは

自己肯定感とは、言葉から推測できるように「自分自身をありのままに肯定できる感覚」のことです。

仕事でミスをしたり他人の活躍を見たときなど、他人と比較して自分が劣っているように感じたり、自分はダメな人間のように感じてしまったりすることは誰にでもあるでしょう。しかし、「自分はこれでよい」とありのままの自分を受け入れ、自分にしかない価値を認められ感覚が自己肯定感です。

自己肯定感が高い人は、どのような自分でも肯定できるため、何事もポジティブに受け入れやすく、積極的にやりたいことに取り組めます。一方で、自己肯定感が低い場合は、そのままの自分をなかなか受け入れられず、悲観的な思考が生まれたり、物事に消極的になったりしがちです。

自己肯定感は仕事や日常生活のさまざまなところに影響を及ぼします。そのため、自己肯定感を高めることは、人生の満足度や幸福度を左右する重要なポイントといえます。 

自己効力感との違い

自己効力感とは、「目標達成が可能な能力があることを確信している状態」を意味します。たとえば、ある目標に向けて行動するときに、「自分なら目標を達成できる」「その能力がある」と確信をもてている状態は、自己効力感が高い状態です。

つまり、自己肯定感も自己効力感も「自身への評価」のことを指すという意味では共通しています。ただし、「自分自身の能力や性格などをありのままに肯定できる」のが自己肯定感であるのに対して、自己効力感は「ある目標や課題の達成能力に対する評価」という点で、両者は意味合いが異なります。

自己肯定感が低い人の特徴

自己肯定感が低い場合、日常生活のあらゆる場面でネガティブな影響を及ぼします。
自己肯定感が低い人には、次のような特徴があります。

自信がない

自己肯定感の低い人は、ありのままの自分を認められないため、自分に自信がなく、自身の劣っているところを見つけ出して自己否定してしまう癖があります。たとえ他人から褒められたことでも素直に受け取れなかったり、自分はダメだとすぐに自己嫌悪に陥ったり、「すみません」が口癖になっていたりと、生きづらさを感じることが多いです。

また、逆に自分とは異なる意見や価値観に遭遇すると、自分自身が否定されているように感じてしまい拒否感を抱き、受け入れられなくなることもあります。結果として、他者とのコミュニケーションがうまくいかないことが多く、「人間関係をうまく構築できない」「他者と信頼関係が築けない」などの問題が生じることが多くなります。 

他者と比較してしまう

自己肯定感が低い人は、つい他者と自分を比較してしまう傾向があります。たとえば、他の人はできていて自分はできないことがあると、強い劣等感を抱いてしまったり、自分には価値がないように感じたりしてしまいます。

逆に、たとえ自身の能力で成果を出しても、他者と比較して目の前の状況を否定的に受け止めてしまうことがあるのも自己肯定感が低い人に見られる特徴です。たとえば、仕事で成果を上げてよい評価を受けても、「自分なんてまだまだだ」「あの人の方がもっと結果出している」などと否定的な要素を見つけ出し、自己評価を下げてしまうのです。 

過去にトラウマがある

自己肯定感の低い人には、過去にトラウマを受けた体験をもっていることが多いです。

とくに、幼少期における家庭環境での経験は、自己肯定感に大きく関係します。たとえば、「子どものころに両親から褒められたことがない」「いつも怒られてばかりいた」「兄弟姉妹と比較されながら育った」など、自尊心を傷つけられた経験や褒められた経験が少ないことが挙げられます。

このようなトラウマから、「自分はできない人間だ」と自信を失い、自己肯定感が低くなってしまうことがあるのです。

幼少期の家庭環境以外にも、人間関係や仕事などで失敗して自信を失った経験によって、失敗への不安や恐怖から行動できなくなってしまうことがあります。失敗した経験が強く印象に残ってしまい、「これをやってみたい」と思っていても、積極的に行動できなくなってしまいます。

完璧主義

自己肯定感が低い人は自身の欠点ばかりに目が向き、うまくいかないことがあると自分を責めてしまいがちです。そのため、仕事や日常生活において完璧主義になることがあります。完璧主義の人は、責任感が強く、仕事では妥協せず細部まで行き届いた高いクオリティを出せるため、周囲から厚い信頼を寄せられることもあるでしょう。

しかし、自己肯定感の低い人は、自分に自信がなく自己評価が低いため、いくら努力しても満足できません。人間なので、完全に完璧でいることはできません。にもかかわらず、自己肯定感が低いと現状に納得できず、「これではダメだ」と完璧を目指すようになってしまい、自分を苦しめてしまいます。 

失敗を恐れて行動しない

失敗を恐れて行動しないところがあるのも自己肯定感が低い人の特徴です。

自己肯定感が低い人は、自分を否定し低い自己評価を抱いているため、自分の能力や行動に自信がもてません。たとえ新しいことに挑戦するチャンスが訪れても、「私には無理…」「どうせ失敗するから…」などのネガティブな感情から、チャンスをつかむのを拒否してしまいます。結果として、新しい挑戦で自身の価値を高めるのが難しくなってしまうのです。

さらに、このような態度から、仕事では「消極的な人物」と見られて低評価を与えられてしまい、自分の価値を下げてしまうこともあります。

自己肯定感を高めるメリット

自己肯定感を高めることで、毎日の生活のあらゆる場面でポジティブな影響をもたらします。たとえば、自己肯定感を高めることで次のようなメリットがあります。

前向きな気持ちになれる

自己肯定感が高まると、前向きな気持ちになれます。

自己肯定感が高まれば、否定的な面も含めて自分を認められるため、たとえ失敗しても「仕方ない」とよい意味で諦めて、気持ちを切り替えられます。過去の失敗を受け入れて次に向かって進めるようになれば、新しい挑戦や環境にも抵抗なく飛びこめるようになるでしょう。

また、自己肯定感が高くなれば、他者と比較したり、他人の反応や評価を恐れて人の顔色をうかがったりせずに済みます。そのため、他者とのコミュニケーションについてもポジティブに捉えられ、良好な人間関係を築けるようになるでしょう。 

成長のスピードが早まる

自己肯定感が高い人は、成長のスピードが早まることもメリットです。

ありのままの自分を受け入れることで、自分自身の能力や決断を信頼できるようになるため、失敗を恐れずに、積極的に新しいことに挑戦できます。加えて、自身の強みや弱みを客観的に見て的確に理解できるようになるため、成長に必要な課題に気づき、さらに成長スピードも早まるでしょう。

また、たとえ動揺し落ち込んでも、ネガティブな感情に流されず建設的な思考を維持できれば、未来に向けてやるべきことを計画し、必要な行動をとれるようになります。そのため、目標達成へのスピードが早まり、大きな飛躍を遂げられるでしょう。 

仕事・プライベートの充実

自己肯定感が高ければ、何事にも前向きに取り組めるようになるため、仕事やプライベートが充実します。

自身の強みを的確に把握して十分に活かすことができれば、自分の能力や仕事ぶりに自信をもてるようになるでしょう。主体性や積極性をもって業務に取り組んだ結果、新しいスキルの獲得に励んだり、自分の強みを活かした働き方で成果を上げたりと、仕事のパフォーマンスが上がってますます活躍しやすくなります。

さらに、自己肯定感はプライベートの充実にも役立ちます。人間関係において「こんなことを言ったら嫌われるかも…」といったネガティブな感情をもたずに相手と向き合えるため、プライベートの時間も充実させられるようになるでしょう。

自己肯定感を高める方法


ここでは、自己肯定感が低い人が自己肯定感を高める方法を説明します。
次のようなことを意識し習慣にすることで、自己肯定感アップにつなげやすくなります。

感謝する・される習慣を作る

まずは日常生活の中で、自分が感謝したり、人から感謝されたりする習慣を作りましょう。

小さなことでも、感謝の気持ちを表現することで気持ちが安定し、物事をポジティブに捉えることができます。「とくに感謝することなんてない」というときには、その日あった小さな幸せを記録するのを習慣にすることで、物事のよい面に意識が向き、ポジティブな気持ちになれるでしょう。

また、自己肯定感が低い人には、人に何かをしてもらったときに「すみません」を口癖のように使ってしまうことがありますが、「すみません」ではなく「ありがとう」と伝えるようにしましょう。

自己肯定感が低く自分に自信がもてない状態のときには、心のどこかで相手に罪悪感を抱いてしまうため、つい「すみません」という言葉が口に出てしまいます。しかし、感謝の表現は、自分も他人も同時に肯定することにつながります。何かをしてもらったときには、「ありがとう」と伝えたほうが、相手も喜んでくれるはずです。

はじめは居心地悪く感じるかもしれませんが、1日1回は「ありがとう」と言うなど、意識して少しずつでも「ありがとう」と伝えるようにしていきましょう。 

小さな目標達成をする

小さな目標達成を積み重ねることも、自己肯定感を高めることにつながります。

「毎日30分勉強する」「毎日英単語を1つ覚える」「食生活を改善する」など、少し頑張れば達成できる目標を立てて、実際にクリアすることで自信を高めていきます。このような小さな目標達成は習慣化しやすいため、目標達成を積み重ねていくことで、着実に自信を高めていくことができるでしょう。

「自分に自信がない」「自分を好きになれない」といった状態のときには、「好きなスイーツを食べる」「ほしかった服を買う」など、無理なくできる自分の願望を実現するのも有効です。自分の願望を叶えることで心が満たされれば、幸福感が高まります。それにより、ネガティブな気持ちも和らげることにつながります。 

気持ちをありのままに書き出す

「今、こんなことに対して不安を感じている」「自分のこんなところに自信がもてない」など、自分の気持ちをありのままに書き出してみることも有効です。

心のなかにある本音をノートなどに書き出してみましょう。他人に見せる必要はないので、人には言えない感情も含めてありのままに書き出しましょう。それにより、曖昧だった自分のなかの感情や本音が明確になり、自分の現状を客観的に理解できるようになるため、自分の感情を整理し、ネガティブな感情を手放すことができます。

思ったことをノートに書き出すだけと簡単に実践できるため、意識して毎日実践しましょう。普段から自分の気持ちを抑えがちな人ほど、自分の思いを吐き出すことで、気持ちが晴れていくでしょう。 

自分を褒める

「これではダメだ」「もっとこうしなければ」と完璧主義になりがちな人は、自分で自分を褒める習慣をもちましょう。自己肯定感を高めるためには、自分の考えを大切にすることが大事です。自分を認めることで、さまざまなことをポジティブに考えられるようになります。

自分自身を第三者目線で客観的に見つめ直し、自分のよいところや褒めるべきポイントをノートなどに毎日書き出していきましょう。「いつもこんなに努力している」「こんなところがすごい」と、よい面を見つけて褒める癖をつけるのです。

自分を褒めることに対して、わざとらしく感じたり恥ずかしいと思ったりすることもあるかもしれません。しかし、客観的に自分のよい面を認めて褒めるのを継続することで、自分を受け入れ自己肯定感を高められるようになります。 

ネガティブな事や人から離れる

自己肯定感が低くなる原因に、何らかの出来事や人が関わっている場合は、それらと離れてみることも有効です。

まずは、どのようなときにネガティブな感情になるのかを振り返って考えてみましょう。たとえば、「自分の能力に合わない仕事をしている」「自分の失敗を押し付けてくる同僚がいる」などが挙げられます。自分にネガティブな影響を与えていることがわかったら、原因となるものや人から距離を置くようにしましょう。

すぐにすべての原因から距離を置くのは難しくても、そこから意識して離れるようにすることが大切です。自己肯定感の低い人は環境によって大きく影響を受けるため、環境を見直すことで自分自身をネガティブに捉えることも減るようになるでしょう。

まとめ


自己肯定感は、ありのままの自分を認めて肯定できる感覚のことです。

自己肯定感の低い人には過去の経験からトラウマをもっていることが多く、自分に自信が持てずに、他人と比較して落ち込んでしまったりチャンスがあっても行動できなかったりと、ネガティブな状態に陥りがちです。

しかし、自己肯定感を高めることで、何事にも前向きに考えられるようになるため、成長スピードを早められ、仕事やプライベートがより充実します。

自己肯定感を高めるには、「自分の感情をありのままに書き出す」「自分を褒める」などの簡単にできることを習慣にするだけでも役立ちます。「もっと自分を好きになりたい」「より豊かな人生を楽しみたい」と思ったときには、意識して実践してみてください。

<参考>
私らしく。
グロービスキャリアノート
バヅクリHR研究所
あしたの人事オンライン
リーダーのメモ帳
くまにち すぱいす
STUDY HACKER(スタディーハッカー)|社会人の勉強法&英語学習
カウンセリングサービス心理学講座

 

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