LIBERTYでは、抹茶と茶道を世界に販売するEC事業に向けて取り組みを進めています!
ただ世界に向けて抹茶や茶道を販売するための事業ではありません。そこで確立したスキームを活用して、LIBERTYに集まった女性の働き方を変えることにもつなげようと考えています。
今回は、抹茶と茶道を世界に販売するEC事業の概要と、事業を始めたキッカケ、現在行っている取り組みや今後の展望を紹介します!
※現段階でLIBERTYの中に抹茶事業のステージがあるわけではありません。LIBERTYや脱毛サロン事業などと並んだかたちでひとつの事業として進んでいます。
目次
事業の概要
はじめに、LIBERTY運営会社代表、兼LIBERTYの講師でもあるやまもと社長に、抹茶と茶道を世界に販売するEC事業の概要を伺いました。
――事業の概要について教えてください。
「外貨を獲得できる人材を育成するために、まずは自社で外貨を獲得できるようにしよう」という目的を持った事業です。近年、日本茶の売上が下がっている茶園が増えています。
そこで、「日本では市場が減り売れていない商品を、世界で売っていく」というのが、事業の概要です。
事業を始めるキッカケ
今回のEC事業は、どのようなことがキッカケになって始めることになったのでしょうか。
また、なぜ売る商品として抹茶や茶道を選んだのかを、やまもと社長に伺いました。
グローバル人材を育成したい
――事業をはじめようと思ったキッカケは何でしょうか?
一つは人材育成をしたいということです。
集客とセールスができて売上に貢献できる人材をLIBERTYで育てているのですが、日本のマーケットがどんどん減っている中で、「日本の商品を海外に売れる人材を育てたい」と思いました。また、僕自身もそうなりたいと思っています。
――なぜ抹茶や茶道を商材として選んだのでしょうか?
理由はいくつかあります。
アメリカでは茶器が売れている
日本の商品を売るといっても、何を売るかが問題です。色々リサーチした結果、まず「ネットで販売できるもの」でなければいけないと思いました。
当然ながら、世界で一番マーケットが大きいのはアメリカです。そこで、アメリカのAmazonで何が検索されているのか調べられるツールがあるので、ツールで調査をしてみました。
そして、最初に目にとまったのは「Japanese Knife」、包丁です。ただ、包丁は銃刀法とかの規制があり、輸出するハードルが高いということがわかりました。
そこで、2つ目に挙がってきたのが抹茶です。「Japanese Tea Set」のような形で売れているので、抹茶だけではなく、道具や体験とセットで売ろうと思いました。
価格を上げて売ることができる
日本の商品を海外で売るときに、僕がやりたいと思っているのは、「価格を上げて売りたい」ということです。日本は、ニューヨークと比べるとクオリティが3倍高いのに、価格は3分の1です。
たとえば、日本のラーメンは、日本だと数百円で食べられますが、向こうだと20ドルとか25ドルほど(3,000円程度)します。日本では考えられないほど価格が上がっているのです。
日本のよくないところは、どんどんデフレになって、安いものが正義のようになっていることです。
そこで、日本の商品を世界で売るなら、価格を上げて売りたいと思いました。抹茶だったら価値をあげて販売することが出来るのはないかと思ったからです。
コンテンツとして売ることができる
実際に事業としてやりたいと思ったときに、ティーセットだけではなくて、「コンテンツとして売れないか」と思いました。日本の文化的なところを考えると、「茶道」っていうのが頭に浮かんだんです。また、偶然別の案件で出会った社長さんが、「茶道に通っている」と言っていたこともあります。
「タイのバンコクで移動式茶室をやりたい」とその社長さんが言っていたのです。
さらに、茶道のことについて聞いてみると、松下幸之助さんもやっていたくらい、経営者層の趣味というか、経営者が武道のような感じでやっているものだとわかりました。
僕自身も教える仕事をしていて、自営業になりたい人向けの事業をやっています。また、自分自身が経営者でもあるので、「茶道との相性が良いのかな」と思いました。
海外に向けて抹茶を販売するために現在行っていること
抹茶や茶道具を売るEC事業、コンテンツとしての販売、インバウンド向けの施策など、大きな広がりが期待されている今回の事業ですが、現在は、まず抹茶を海外に向けて販売するための取り組みが行われています。
はじめにどのようなことから行ったのか、現時点で進行している取り組みにはどのようなものがあるのか、やまもと社長に詳しく伺いました。
海外でモノを売るための「流通の壁」をクリア
――事業をやろうと決めて、最初にされたことは何でしょうか?
まず、海外に「どうやって売るのか」が一番の課題としてありました。
自社の物販を担当している山本さんが貿易会社に連絡をしてくれて、そこが世界27か国とつながっているということで委託をすることになったのですが、現地の仕組みなど「流通の壁」があったんです。
たとえば、現地法人がないと、Amazonのアカウントを取れないなどですね。
そのような海外で物を売るためのハードルがいくつかありましたが、外注先を見つけることで、まずは流通の問題を解決したところです。
ニーズや市場、輸出の検査基準などの調査
ただ、世界に抹茶を輸出しようと思ったときに、さまざまなハードルがあります。農薬検査基準というのがあるんですよ。アメリカの農薬検査基準とヨーロッパの農薬検査基準が違っていて、農薬検査に受からないと輸出ができません。
となると、すでにアメリカの農薬検査基準にクリアしている茶園を見つけるか、茶園で検査基準をクリアするように農薬の使いかたを変えてもらうか、もしくはオーガニックが非常によいみたいです。
「オーガニックの抹茶」というだけで、海外ではかなり売れるようなので、オーガニックで栽培している茶園で進めることにしました。
全国の茶園に連絡
――オーガニックの抹茶という方向性が決まってからは茶園を探されたのでしょうか?
はい、九州を中心に全国の茶園に連絡をしています。僕自身も先日、埼玉県狭山市にある茶園さんにアポを取って、話を聞いてきました。農薬検査の話など、どういう戦略で今後アプローチして行くのかをヒアリングしてきました。
――茶園には、何軒くらい連絡されているのでしょうか?
100〜200件ほどです。電話をしても断られるので、ダイレクトメッセージをしているようです。
本当は直接農園や茶園さんとつながって卸してもらいたいのですが、すでに海外と取引があるところだと、競合になってしまうのでできない、というケースもあります。
――狭山市の茶園さんとはどのようなお話になったのですか?
ヨーロッパの農薬検査はクリアしているものの、アメリカはまだ検査をしていないのでわからないというのが一つ、あともう一つは、お茶の作り方や今後の戦略についてです。
埼玉は、九州と比べ北に位置しています。たとえば、日本三茶は「色の静岡」「香りの宇治」「味の狭山」と言われ、静岡市と宇治市と狭山市のお茶が有名です。
ただ、お茶はもともと、スリランカなど亜熱帯のもので、比較的温暖な気候のほうが育ちやすいので、狭山になると、少し寒い気候ということになります。
つまり、お茶は暖かいほうが色はよくて、寒いと黄色や赤みがかってくるなど、色はよくないけれども味はよくなります。言い換えると、「色は宇治や静岡のほうがよくて、味は狭山の方がよい」ということです。
ただし、海外で受けるのは、色がよいほうです。外国人は味のよさはわかりませんが、色のよさはわかります。だから、戦略としては、比較的暖かいところで育ったお茶がよいのかなというのはありますね。
オーガニック栽培の茶園にアプローチ
海外では、オーガニックでないと価値がわかりづらいようです。外国人は、お茶について味の良し悪しはわからなくても、オーガニックは世界的に認知されていますから、オーガニックかオーガニックじゃないかはわかります。とくに、日本よりも海外のほうがオーガニック需要は高いので、オーガニックの農園・茶園さんにアプローチをしているところです。ただ、オーガニックの茶園さんは、すでに大企業が開拓していることもありますね。
――そのような壁も出てきたのですね?
はい。さらに、農薬の関係では、とても勉強になったことがあります。オーガニックで育てたいと思っていても、アメリカの農薬検査に通そうとすると、作りづらい地域というのがあるようです。たとえば、静岡は辺り一面が茶畑ですが、和歌山は限られたところで栽培をしていて、隣が畑になっていることもあります。すると、畑で使っている農薬が飛んできてしまい、農薬検査に通らなくなってしまうのです。
これはアメリカの農薬検査基準がどれくらい厳しいかという話になりますが、「25メートルプールに水滴を一滴垂らすくらいの農薬でも検出される」ほど厳しいレベルのようです。そうなると、辺り一面が茶畑で全部オーガニック栽培しているところか、山を切り崩してもともと茶園がなかったところに茶畑を作るという方法になります。と言うのは、山を切り崩すと、お茶の害虫がいないため、結果的に農薬を使わなくても問題ないようなんです。
そのため、鹿児島などのオーガニックで栽培しているところや、すでにアメリカに輸出しているところにアプローチをしている段階です。
――すると、当たるところも選択肢はだいぶ狭まりますね?
当然そうなります。あとは、茶園によっては、代理店を好むところもあれば、自社の茶ブランドをPRしてほしいところもあれば、買ってくれればうれしいというところもある、というのがわかった状態です。
JAPAN Fes New Yorkに出店
――今後は二ューヨークで開催されるJAPAN Fes New Yorkに参加されるという話を伺いました。
はい。2023年8月に出ようと思っています。マーケティングがてら、抹茶のコールドドリンクを売ってみたいと思っています。現時点では、実際にどういうものが売れるのか、どうしたら輸出できるのかを探っている状態です。ニューヨークでは抹茶がスーパーフードとして扱われていて、エナジードリンクの代わりになっているのではないかという仮説が出ています。
ニューヨークでは、「Cha Cha MATCHA」というカフェが流行っているようです。どのようなものかというと、抹茶に関するコールドドリンクがピンクで装飾されて、ポップな感じで売られています。
――それは意外ですね。抹茶だと和テイストで緑のイメージがありますが。
おそらく、それでは海外で売れないのだと思います。そのため、アメリカで売るなら、ポップなテイストで売ろうかと思っています。
抹茶を軸に女性の働き方を変える
今回のEC事業は、外貨を獲得するだけに留まらず、事業の成功が女性の働き方を変えることにもつながっていきます。
具体的に、今回の事業でどのようなことを実現したいのか、この先のビジョンや展望について、やまもと社長に伺いました。
今後の展望
法人への販売
――今後の展望について教えてください。
今後は世界で売れる、本当に輸出できる抹茶をまず見つけて、まず法人に売ってきたいと思います。対法人で、いかに売り上げを立てるかというところが重要です。
BtoBに卸していくために、どういう抹茶だと法人が買いたいのかを考えています。
茶園の後継者支援
もう一つ、狭山の茶園で話を聞いてわかった社会的な問題があります。「お茶30年問題」です。
30年後には、僕たちが飲んでいる日本茶は、同じように飲めなくなる可能性があります。事業継承がうまくできていないためですね。今いる茶園の人は、だいたい60代で若いと言われているほど、後継者が不足している状況です。
なぜ後継者がいないかというと、儲からないからです。
儲からないためにお茶が飲めなくなってしまうのなら、僕の事業を通じて、「農園さんの売上があがりました」「販路開拓して売上があがりました。後継者が出てきました」というところにつなげたいと思っています。
女性や生産者の働き方を変える
――抹茶で成功したら、同じスキームでまた違うものでできそうですね?
はい。抹茶ではない、日本の何かを世界で売れたらと思います。
――これもまた、「広がりがある事業」ということですね。
僕のもとには、「働き方を変えたいけど、売りたいものがない」女性が集まってきます。その人たちに一つの販路というか、日本のお茶を世界に売っていくという仕事をしながら、働き方を変えたい女性のやりがいにもなっていければ面白そうだなと思います。
――確かに、後継者問題はよく聞きますね…。
多分、同じことを言えば、日本酒などもそうです。酒蔵がどんどん赤字化していっているという話があります。
僕たちは、儲かるイメージを持たせてあげたり作ったりすることはできます。「このままだと儲からないから続けられない」というところに、若者など全国からオンライン完結で仕事を手伝えて、なおかつ女性の働き方も変わり、日本にいる素晴らしい人たちも働き方が変わったらよいと思っています。
「3%で動くことで見えてくるもの」を伝えたい
――新事業への取り組みを通して、やまもと社長がLIBERTY受講生に伝えたいことはなんですか?
今回の狭山市への出張など、いろいろ調べて動いた結果、ぼやっとしていたものが明確になってきたとわかりました。
僕が受講生に教えている言葉で、「動き出したら動き出す」という言葉があります。
人の話を聞くなど、何かしら動き出せば、全部の歯車が動いていくということです。
3%でもいいから、とりあえず進めてみると、いろいろことがわかってきます。新しいことを始めるときは、そもそもうまくいかなくて当たり前なので、うまくいかないことをいかに早く経験できるかが重要です。
農薬検査の壁や、オーガニックの壁にぶつかるのが当然早ければ早いほど、問題解決に取り組めます。
でも、とりあえずはじめてみて、「壁が何か」がわからないと壁にぶつかれません。
だから、新しい仕事をやろうと思ったときに、LIBERTYでの教えを自分自身も体験して、「壁にぶつかったときはこうやって乗り越えるんだ」と受講生に身をもって教えていきたいと思います。
まとめ
抹茶と茶道を世界に販売するEC事業は、外貨獲得できる人材育成という目標に向けて、自社で外貨を獲得することを目的に始まりました。
まずは抹茶を世界に販売するために、流通やオーガニックなどの壁にぶつかりながらも、さまざまな取り組みが行われています。
こうした事業への取り組みは、LIBERTYを通じて集まった女性たちの働き方を変えることにつながるだけでなく、問題解決のアプローチという面からも学びを得られるでしょう。
LIBERTYでは、このような実際の取り組みにもとづいたリアル感のある授業が受けられます。興味を持った方は、まず公式LINEアカウントに登録をお願いします!