「働き方を変えたい、もっと自由に働きたい」という思いを持って、自ら起業に挑戦された方にリアルなお話を聞く「起業家インタビュー」シリーズ。
今回ご登場いただくのは、宮城県石巻市で小顔と脱毛のサロンを経営されている、斎藤範子さんです。ご自身で施術を行うのみならず、日頃から開業希望の方の相談・アドバイスにも数多く携わっていらっしゃる斎藤さん。
起業に至るまでの経験や想い、過去の経験から大切にしている心構え、そして起業したい方へのメッセージなどまで、貴重なお話をたっぷりと聞かせていただきました!
目次
斎藤さんプロフィール・事業紹介
プロフィール
斎藤範子さん
サロンオーナー・エステ講師
大手エステサロン・脱毛サロンにて約15年勤務後、アパレル業界へ転職。40歳を迎える頃に宮城県石巻市で小顔サロンを開業。現在は脱毛サロンも立ち上げ、スタッフ6名体制にて運営。サロン開業希望者のスクール講師としても活躍中。
店舗ページ:https://www.rinory.jp/
事業内容・規模感
宮城県石巻市という小さな街で、小顔サロンと脱毛サロンを経営しています。
開業当初は小顔メニューからスタートし、7年ほど経って脱毛メニューも手掛けるようになりました。
メンバーは自分も含めて6名です(2023年5月現在)。
昨年までは2人で運営していたのですが、今年から新店舗を増やす計画をしていることもあり、ちょうど人数を増やし始めた段階です。
起業の経緯・きっかけ
大手サロンとアパレル勤務を経て40歳で独立・開業を決意
まず簡単に経歴をお話させていただくと、私は高校を卒業してすぐ大手のエステサロンに勤め、3年ほど働きました。
その後、脱毛メインのサロンへ転職。そこでは12~13年くらい勤務し、いったんアパレル業界を経由したのちに独立を決意して、現在のサロン開業に至っています。
もう少し詳しくお話していきますね。
エステや脱毛サロンでの勤務は15年ほど続けました。結構長い時間だったのですが、最初に現場を離れようと思ったきっかけは、サロンで雇われて働くこと自体が嫌になってしまったことでした。
1社目も2社目も大手だったのもあり、ルールがとても厳しくて…。もちろん勉強になったことはたくさんありますが、髪の毛を染めるのもNGでしたし、あれもダメ、これもダメ、みたいな感じで、次第にしがらみに煩わしさを感じるようになってしまって。
一度はエステの世界を離れて違う仕事をしてみたいと思い、アパレル業界に転職したんです。ただ、そこから大きな気持ちの変化があったのは、ちょうど40歳を迎えた頃。「もうどこかに勤める働き方は嫌だな」と思うようになり、自分で何かをやろうと決めたのが開業のきっかけです。
自営業を選択した理由
私自身、もともとは自営業よりも組織の中で結果を残してお給料をいただく、会社のやり方に沿って働くことが向いているタイプだと思っていました。実際に、何年も働く中でリーダーを任されたり、スタッフを育成したりするようになって。組織で徐々にステップアップしながら、今後もずっとやっていけるつもりだったんです。
でも、40歳を迎える頃に、ふと「人生の残り時間はあと40年くらい。もう折り返し地点だ」と気付いて。と同時に「私はこのままでいいのだろうか?」という気持ちが生まれてきました。
そこからは、働くことに対する考え方が変わっていったように思います。例えば「どうせ40万円や50万円を稼ぐのだったら、自分が本当に好きなことをやりたい!」だとか。「もし100万円を稼ぐのだったらどうすればいいかな?」だとか。
段々とそういう思考になってきて、自分自身で何かやってみようという気持ちが強くなったんです。
起業前に大変だったこと・実践したこと
実は、最初の起業で選んだ業態はエステサロンではなく、雑貨屋さんなんです。心の中には「雑貨販売はちょっと難しいかな…」という思いがありつつも、たまたま縁あって新築テナントを作る段階から携わらせていただきました。
そのときに考えていたのは、まず「自分には何ができるだろうか?」ということ。私の強みになると思ったのは、アパレル業界で学んだ「販売」と、それまでに長く続けてきた「エステ」の2つでした。
そんなこともあって、雑貨店ではありながら一角には施術ベッド1台分を置けるスペースも用意して、一見ちょっとよくわからないお店を始めたんです。
ただ、いざ開業してみたら、やっぱり自分にはエステの方が向いていたみたいで。雑貨よりもエステのお客様が大きく増えていったので、改めてサロンとして新規オープンすることを決めました。
サロンを立ち上げる時は、昔の仲間に声をかけて二人でスタートしました。もちろん最初から成功する保証はないので、仲間には「もしうまくいかなかったらごめんね」みたいな感じではあったのですが…。
私としては、半年くらいの時間をかけてなんとか軌道にのせようと思っていました。
起業後に大変だったこと・実践したこと
サロンのオープン後は、雇われ時代に管理職経験があったことも功を奏して、どうにかやっていけたかなと思っています。
それでも、やはり1年目は大変でしたよ。一番苦労したことは集客です。当然ながら、店舗をオープンしたところで勝手にお客さんがやってくるわけではないので、自分でどうにかしていかなくてはなりませんでした。
最初はチラシを打たず、口コミに力を入れました。2カ月は売上が立たない前提で、まずは「無料体験」のような形で10人くらいの方に施術を受けていただき、その方々に「広めてもらう」といったことをやっていましたね。
でも、それだけではなかなかうまくいかなかったです。それからは、地方紙に広告を出したり、美容室や病院の待合室なんかにチラシを置いてもらったり。そういう地道な行動を半年くらい続けて、徐々にお客様を増やしていきました。
ターニングポイント
サロンオープン後、半年ほど経った時期がひとつのターニングポイントになったかなと思います。その頃には順調にお客様も増え、運営は軌道に乗り始めました。
当時、私は新しいメニューを提案したいと考えていたんです。今は脱毛をメインでやっていますが、当時は「手技で人を呼びたい」という思いが強かったので、小顔のメニューにいち早く目を向けていて。
サロンをPRするときにも「美容整体」という形での打ち出し方をしたら、それがうまく当たりました。
起業をして変わったこと・良かったこと
「もっとこうしたい!」を実現しやすくなった
起業をしてみて、嫌なことよりも良かったことの方が多いと感じています。
最初にお話した通り、大手サロン在籍時にはいろいろなルールがあって、それを守って働く必要がありました。売上についても、会社から決められた方針・やり方で追っていかなくてはならず、もどかしい場面がたくさんあったんです。
でも、今は勤めていた頃のように縛りがない分、お客様との関係はグッと近くなりました。私は以前から「お客様が通いやすいサロンにしたい!」という想いを持っていたのですが、「もっとこうしたい!」と思ったことがすぐに実現できる、そんな喜びを感じられています。
時間の使い方が上手になった
もうひとつ、起業をして変わったと感じているのは時間の使い方です。今でもすごく働く日はありますが、勤めている時よりも余裕ができて、時間を上手に使えるようになりました。
具体的なスケジュールをお話すると、サロンの営業時間は平日の9時から20時で、サロンワークの日は基本的にずっと現場に入っています。土日祝は、サロン自体を定休日にしているのでお休みです。加えて、平日も多い週は2回くらい休みを取ります。
現在一緒に働いてくれているスタッフは業務委託ということもあって、メンバー全員で予定を相談しながら、お休みをうまく調整しています。
収入がアップした
収入が増えたことも起業後の変化です。
正直に言うと、サロン勤務時代もそんなにお給料が悪い方ではなかったと思うのですが、それでも今のほうが断然良い状態です。
年間のサロン売上については、小顔メニューだけの時は1200万円ほど。脱毛を導入してから大きくプラスになって、現在は1600万円くらいです。
今後の展望
サロンを開業してからは、同じように「サロンをやってみたい!」と考えている方から相談を受けることが増えました。
私自身、ちょっと前までは「小顔」や「マッサージ」に目がいっていたこともあって、本当に良いアドバイスができているだろうか、という思いもあったんです。というのも、手技メインのサロンだと、どうしても素人の方がいきなり挑戦するのは難しいだろうなと感じていて。
ただ、最近は「脱毛」まで手掛けるようになり、この領域なら未経験から開業したい人たちのお手伝いがしやすいと思えるようになっています。
今後はサロン開業を目指す方たちのサポートにも、一層力を入れていきたいです。
今、30代や40代くらいの女性で、セカンドキャリアを求めている方がすごく多いと感じます。コロナ禍をきっかけに、働き方を見つめ直す人も増えましたよね。
私自身も、もうすぐ50代の節目を迎えます。今後は「自分が今までやってきたことを開業希望の方にお伝えしたい」という気持ちが、ますます強くなっているところです。具体的な案としては、これからは月の半分くらいの時間を使って、売上50万円くらいの「ミニサロンづくり」のための開業のアドバイス・サポートができたらと考えています。
過去の経験から大切にしている心構え
人が嫌がることをしない
心構えといっても、本当に小さなことではあるのですが…。「人の嫌がることをしない」ということは、私がずっと大切にしている考え方です。
昔からお客様に対してはもちろん、一緒に働くスタッフ同士でも相手が嫌がることを平気でやったりする人を見ると、ちょっと許せないんですよね。これは一緒に働くスタッフたちにも必ず伝えています。
何事も自ら楽しむ気持ちを持つ
もうひとつ大切にしているのは「自分の身のまわりで起きていることはすべて、自ら楽しんでいきたい」ということ。この考え方に行きついたのは20代の頃です。
自営業をやっていても日々いろいろなことがあります。でも、良いことも悪いことも、すべて前向きに受け止めて過ごしたいと思っています。
お客様との間のトラブルも同じです。
ひとつ具体例を挙げると、私たちのサロンではフェイシャルもやっているので「オススメされた化粧品が合わなかった」みたいなトラブルは時々起こるんですね。でも、正直なところ化粧品の合う・合わないは、実際に使ってみないとわからないところもあって。
なので、私は「もし使ってダメだったら返品してください」と正直にお話します。「もしどうしても病院に行かなきゃならなくなったら、私が一緒に行きますから」みたいにお伝えすることも。
大切にしたいのは、いつでもお客様の想いにしっかりと寄り添うこと。どんなことが起きても受け止めて対応しよう、という気持ちは常に持っています。
起業を考えている方へのメッセージ
日々いろいろな方の起業・開業の相談にのっていて感じるのは、皆さん「やってみたい!」と少しでも思った時点で、やりたい気持ちからはもう逃れられないということです。そんな想いを抱えたまま何ヵ月、何年と悩み続けるのは、私は時間がもったいないなと思ってしまいます。
やれない理由はいくらでも出てくるので、わざわざマイナスなことばかり考えていても一向に進みません。「やりたい!」と思ったのなら、それが自分の本心。「やってみてダメだったら仕方ない」くらいの覚悟を決めないと、いつまで経っても起業できないだろうとも思います。
これは起業に限ったことではありませんが、「何かをしたい」と周りに伝えたら、必ず「良いね!」と背中を押してくれる人と、メチャメチャ反対する人、そのどちらもいるものです。
私は単純な人間なので、自分を応援してくれる人や、実際に自分で何かやってみて成功している人の話しか聞きません(笑)。
私は、起業の世界へ飛び込んでみたらとても楽しいですし、やりたいことがどんどん膨らむ日々を過ごしています。自分の「やりたい気持ち」に正直になって、挑戦して良かったと思えます。
また、これは余談になるのですが…。
私には3人の子どもがいて、2番目の子が重度の心臓病なんです。生まれてから5回手術をしていてペースメーカーも入っていますが、その子が言うのは「健康だったら何でもできる。自分は諦めなきゃいけないことがいろいろあったけれど、お母さんたちはそれがないじゃん」と。
私自身、その言葉にもすごく感じるものがあります。もちろん、お金のことなどで不安になったり悩んだりする気持ちもわかります。でも、何度も言いますが「やってみたい!」と一度でも思った瞬間から、その気持ちを忘れることはできないんですよね。
だからこそ、本当に諦めない方がいいと思います。それは何歳になっても同じ。やりたいことがあって迷っている方は、どうかモヤモヤとした思いを抱えながら一生を過ごさないようにしてほしいです。
まとめ
新しい挑戦をするとき、それまでの生活を大きく変えようとするときは、誰でも不安になるものです。そんな中でも、ご自身の「好きなことをやってみたい!」という気持ちを大切にし、夢を叶えるために行動した斎藤さん。
現在の充実した毎日を過ごしている様子、そして今後の挑戦についてもイキイキと話していらっしゃる姿が、とても魅力的でした!働き方を変えたい女性のための起業スクール「LIBERTY」にも、「こうなりたい!」という目標を掲げ、日々努力を続けている仲間がたくさんいます。
ご自身の状況や目標に合わせて選べるコース・多彩なカリキュラムを用意し、同じ価値観を持つ仲間同士で切磋琢磨しながら成長できる環境があります。LIBERTYのコースやカリキュラムについて詳しく知りたいという方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!