【起業家インタビュー Vol.2 COEDO KAWAGOE F.C 中島 涼輔さん】自分に合う起業のスタイルを見つけてほしい!    

この「起業家インタビュー」の記事では、ご自身で起業をされた方をゲストに招き、起業にまつわるさまざまなお話を語っていただきます!

今回登場いただくのは、埼玉県川越市を拠点とするサッカークラブ「COEDO KAWAGOE F.C」を運営されている中島涼輔さんです。

起業を決意したきっかけや、起業前後で味わった苦労のお話、そして、これから起業を目指す方へのメッセージまで、たっぷりと聞かせていただきました!

起業に興味を持っている方、働き方を変えたいと考えている方は、ぜひヒントにしていただければ幸いです!

目次

中島涼輔さんプロフィール・事業紹介

プロフィール

中島涼輔

COEDO KAWAGOE F.C

取締役 中島涼輔さん

埼玉県出身。埼玉県立川越高校、早稲田大学を卒業後、株式会社リクルートへ入社。「SUUMO」のサービス開発や新規事業開発などに従事し、3年半の勤務後に独立。29歳でCOEDO KAWAGOE F.C株式会社を設立。

会社HP:https://c-kawagoe.com/

自社オウンドメディア「#川越(ハッシュカワゴエ)」:https://mag.c-kawagoe.com/

会社の事業内容とその特徴

会社の事業内容とその特徴

僕らは、埼玉県川越市からJリーグを目指す社会人サッカークラブ「COEDO KAWAGOE F.C」を運営しています。

「Jリーグ」というと、現在は「J1・J2・J3」というピラミッド構造になっているのは皆さんもご存じだと思います。このJ3まではプロのリーグですが、実はその下にも全国にたくさんのアマチュアクラブチームがあるんです。

僕らのクラブは2020年9月にゼロからクラブを立ち上げて、最初は「J11」に該当するカテゴリーでスタートしました。(※カテゴリー数は都道府県によって異なる)
優勝をすることで1つずつカテゴリーが上がるしくみになっていて、2023年2月現在では「J9」に該当する位置にいます。

クラブを設立したのが2020年の9月。その翌月の10月に株式会社化し、会社としては3期目に入っています。
現在の社員数は役員を含め、フルタイムのメンバーが6名です。
売上については、1期目が約2800万円、2期目が約3400万円。そして3期目は6000万円を目指しています。

起業の経緯・きっかけ

大学時代のインターンシップでビジネスの面白さに気付く

起業の経緯・きっかけ

僕自身、幼少期からサッカーをやっていたこともあり、スポーツは大好きでした。でも、実は大学時代はもともと公務員になりたいと思っていたんですよ。親も公務員でしたし、安定志向の家庭で育ったこともあって。

ただ、社会人になる前に一度はビジネスをやってみたいと思い、企業でのインターンシップを経験したんです。そうしたら「ビジネスってメチャメチャ面白い!!」と感じたんです。

当時やっていたのは家庭教師の会社のインターンです。地方の学生に対して東大生のオンライン家庭教師を提供する、といった事業の立ち上げ段階から参画させていただきました。

ビジネスの何に魅力を感じたかというと、一つは、自分たちが提供したサービスで誰かに感謝してもらえるということ。
人は、サービスに価値を感じなければ「1円でも払いたくない」と思うのが普通だと思います。だからこそ「お金をいただけることってすごいことなんだな」と実感しました。

それと、インターネットの可能性みたいなものもすごく感じて。

もっとビジネスの世界で経験を積みたい、ネットを使って事業を伸ばす経験をしてみたいと思い、大学卒業後はリクルートへの入社を決めました。
こういう流れなので、僕はもしインターンをやっていなかったら、たぶん公務員になっていたと思います(笑)

「稼ぐ力」を身に付けるためにリクルートへ入社

「稼ぐ力」を身に付けるためにリクルートへ入社

スポーツビジネスはとても素晴らしい事業だと思うのですが、その裏には「給料が上がらない」だとか、大変なことがいろいろとあるんです。そのあり方については、学生時代から問題意識のようなものを持っていました。

スポーツビジネスの現状を変えたいとも思っていましたが、そのためには、まず自分自身の力を高めなくてはなりません。

「稼ぐ力」を身に付けようと考えたことも、ビジネスの世界に入ることを決めた理由です。

ちなみに就職先としてリクルートを選んだ理由はいくつかあって、一つは、今のJリーグ組織のトップ層の人たちにリクルート出身者が多いこと。ここには何か意味があるんじゃないかなと感じていました。

別の理由としては、僕自身スーツを着ることが苦手なんです(笑)
スーツを着ずに働ける会社はIT系だなと思って、リクルート・DeNA・サイバーエージェントの3社をイメージしていた中で、リクルートとご縁がありました。

入社後は、不動産サイト「SUUMO」のWebマーケティングなどを担当しました。
1年目から予算規模1億円くらいの仕事を任せてもらえたり、世の中に対するインパクトの大きさを実感できたりと、すごくやりがいのある経験ができたと思っています。

「本気でやりたいことに挑戦したい!」と起業を決意

リクルートは3年で辞めようと思っていましたが、結果的に3年半働かせていただきました。そこから独立にいたるわけですが、当初は、必ずしも自分がゼロから事業をつくらなくてもいいと思っていたんです。

それでも、自分で起業をしなければならないと決めた理由があります。

今のJクラブを見てみるとわかるのですが、各クラブの特徴として、巨大な会社がバックに付いていることが挙げられます。
規模の大きな1社が年間10億円くらいを出しているケースもありますが、このような環境下でのクラブ経営となると、どうしても自由度は低くなってしまいます。

僕は「どうせ自分がやるなら、本気でやりたいことに挑戦したい!」と考えていました。

だからこそ既存のJクラブに入るのではなく、一から立ち上げていく道を選んだんです。

起業に向けて準備したこと

起業に向けて準備したこと

リクルート在職中から、スポーツ関連のビジネススクールに通うなど、起業に向けた準備を進めていきました。
僕が通っていたのは「スポーツヒューマンキャピタル(SHC)」という、Jリーグが作った団体のスクール。
「スポーツビジネス経営者を育てる」というコンセプトの下、スポーツビジネス領域で活躍できる人材の育成を目指した約半年間のコースでした。

そのコースはかなり実践的な内容になっていて、例えば「ある実在するJリーグクラブの事業を次の3年でどう伸ばすか?」という課題に対し、自分たちで事業計画を作り、最後にそのクラブの経営者に対してプレゼンをするといった一連の流れも経験しました。

ここでスポーツビジネスの大枠を掴むことができましたし、スポーツクラブの収支が大体どこも赤字になっていること、そして変えていくべき課題まで改めて深く考える機会になりました。受講料は50万円ほどと決して安くはなかったのですが、ありがたいことにリクルート時代は給料に恵まれていたので、とても助かりましたね。

起業後の苦労・壁はどう乗り越えた?

スポンサーはゼロ、スタッフもゼロでスタート

僕らの事業は、当社の代表を務めている有田と共同で立ち上げました。
彼とは中学の同級生で、僕はサッカー、彼は野球と別のスポーツに打ち込んできましたが、お互い考えることが似ていたこともあり、一緒にやることを決めたんです。

僕らがまず着手したのは「ホームタウン」の設定です。Jリーグは各クラブに必ずホームタウンがあって、そこを拠点に活動していくというスタイル。だからこそ「どこで始めるか」が、ものすごく大事になるんです。

ちなみに僕らの出身地は埼玉県の富士見市というところですが、僕自身は高校も川越で、川越の地にはとても愛着がありました。
なお、埼玉県には、すでに「浦和レッズ」と「大宮アルディージャ」というJクラブが存在します。なので、サッカーを盛り上げていくマーケットとしてはかなり土壌が良くて。

クラブチームの立ち上げを最初にSNSで発表したときには、300リツイートくらいの反響がありましたね。
チーム立ち上げを発表したのが2020年の7月。第1回のセレクション(※メンバーの選考会)を9月に実施して、そこには選手候補の方が50人くらい集まってくれました。

「川越のために何ができるか?」オウンドメディアの立ち上げ

オウンドメディアの立ち上げ

9月のセレクションを終え、「覚悟を持ってやっていこう」という強い決意の下、翌月の10月には法人化しました。
ただ、起業当初はスポンサーゼロ、スタッフも1人もいない状況です。

そんな中でも僕らが大事にしていたのは、とにかく皆さんに「未来の姿」を具体的にイメージしてもらえる設計図を描くことでした。

全国各地に「何となくJリーグ目指す」と発表しているアマチュアクラブは多くありますが、僕らはそれではダメだと思っていて。
Jリーグに行くときの予算規模を設定し、そこから逆算して、どういう事業を作らなければいけないのかということを、とことん具体的に考えていきました。

具体的にスポンサーを獲得した方法はいくつかありますが、最も大きかったのは、現在も自社で企画・運営を手掛けている「#川越(ハッシュカワゴエ)」というメディアの存在です。

このメディアを立ち上げた理由は、僕ら自身が「ホームタウンの川越に対して何ができるか?どう貢献できるか?」ということを考えた結果です。川越の魅力が発信できるよう、実際に川越の事業者や人たちにインタビューを行い、無料でコンテンツにしています。

それと、川越という街は年間600~700万人くらいの観光客が来る場所なのですが、何よりもここで暮らしている人たちが自分たちの街を大好きで。お互いの繋がりも強く「みんなで街を盛り上げよう!」という雰囲気があるんです。

ですので、活動を進めていく中で企業さんからまた別の企業さんをご紹介いただく、というケースも多々ありました。

直面している課題

スポンサー数は1年目で40社、2期目を終えて170社くらいにまで増えました。数字としては順調に伸びているものの、目の前の課題と感じていることもあります。

そもそも基本的なスポンサービジネスとは、今年お金を出していただいた方や企業に対して「また来年もお願いします」という形で、1年ごとに契約を繰り返すものとなっています。でも、これだけでは僕ら側のメリットがずっと大きくなってしまう。

そこで僕らは「スポンサーの輪を通して相手の事業をどう伸ばしていくか?」にも挑戦したいという思いを持って活動をしています。ですが、これを実現するためには、どうしても1社1社に時間をかけて向き合っていかなくてはなりません。

当社の従業員はまだ数名しかおらず、時間と人が圧倒的に足りていない状況です。ありがたいことに毎月スポンサー様が5社くらい増えている中、1社1社に真剣に向き合いたいと思うからこその大変さを感じているところです。

現状では力技で僕自身がスポンサー様と直接お話をしていますが、このやり方にも限界があるので、これからは人を増やし、育てていかなくてはならないと考えています。

今後の展望

ミッション

今後の展望

僕らのクラブチームの目標は「2030年にJ3」に入ること。

アマチュアリーグのカテゴリーは1年に1つしか上げられないので、この目標を達成するためには1回しか失敗できない計算。かなり高度な目標設定です。また、事業規模とチームの強さは基本的には比例します。良い選手をとるにはお金が必要だからです。
ですので、常に2年くらい先を見越した事業づくりを継続的にやっていかなければなりません。

「何となくJリーグに行ければいいな」くらいの気持ちだと、最近はアマチュアにも“元Jリーガー”がうようよいる中で、とても勝てないと考えています。

僕らは本気でJリーグを目指しているからこそ、数字の裏付けを作り、目標をどう達成するかを具体的に考える。

このやり方で、これからも進んでいきます。ただ、僕らが本当に叶えたいことは、単に「チームが勝つ」「事業が伸びる」とは別のところにあるんです。これだけ多くのクラブチームがある中で、なぜ僕らがあえて新しくクラブを作るのか。

それを突き詰めて考えたとき、本当に目指すべきものがハッキリしました。

こうした想いを明文化したのが「フットボールクラブを通じて、川越に夢と感動を創出し続け、100年続くクラブへ」という自社のミッションです。

スタッフもスポンサーもゼロから作ったクラブが、一つひとつ階段を上っていって、本当にJリーグに入る。たとえサッカーに興味がない人からも「あいつらができるんだったら、俺も明日仕事頑張ろうかな!」みたいに思ってもらえる。

僕らは、そういう存在になりたいと思って挑戦を続けています。

なので、Jリーグに上がっていくことは、僕らのミッションを実現するための手段でもあるんです。

具体的な事業の展望

具体的な事業の展望

サッカーに興味がない人にも日常でクラブの存在を意識してもらうためには、地域経済に根付いた事業を展開することが非常に大事だと考えています。そこで、具体的な事業の展望の一つとして、2030年に「地域通貨」を作ることも目指しています。

川越にある約1万社の事業者様が僕らのスポンサーになって、地域通貨にも加盟いただいて。川越に住んでいる方が、ここで貯めたポイントを使うことで他の地域よりもお得に暮らせたり、市民税を払えたり…。
僕らが主導となってそういう世界観がつくれたら面白いなと思うんですよね。

サッカークラブはいろんな業種の方とお仕事をさせていただくので、その利点を活かした事業づくりを続けていきたいです。
…と、いろいろ語ってはいますが、まだまだスポンサー様の事業に依存している部分が大きいのが現実。

今後は「スポンサー様にどう価値を返すか」ということを、もっともっと考えていかなければと思っています。

データを活用し、チームのスタイルを確立させたい

データを活用し、チームのスタイルを確立させたい

また、僕らの目指すサッカーについても少しお話したいと思います。

そもそもサッカーというものは、事業と同じで「不安定な要素」がたくさんあるものなんです。
今のJリーグクラブを見ても、監督や選手が変わると、チームの勝率は大きく変わっています。
サッカーでも、例えばそれまで個人プレーが多かったチームが、監督が変わった途端ボールをつなぎ始めるようなスタイルに変わる、といったことになるわけです。

これは経営で言えば、一つの要素が変わるだけで他の数字が一気に変わるみたいな、すごく怖いことだと思っています。
ですので、僕ら事業側としては「2030年にJリーグ」の目標に向けて、「KOEDO KAWAGOE F.Cのサッカースタイルってこれだよね!」という確立したものを作りたいと考えています。

そのためには、例えば試合中にボールを持っている時間が6割以上とか、ペナルティエリア(ゴールが決まりやすいエリア)に入った回数が何試合中に何本だとか。できるだけ定量化をすることが必要だと考えています。

すでに現在は選手がGPS機能みたいなものを着けていて、試合中にどれくらい走ったかなど、リアルタイムで数字が出るようになっているんです。

もっとデータを活用することはできると思うので、「川越の選手なら最低限これくらいの数字は必要」といったように基準を設定し、チーム強化を進めていく取り組みにも挑戦していきたいですね。

起業を考えている方へのメッセージ

僕は、最初は「軸」となる仕事をしながら、同時に少しずつ起業に向けて動いてみるのも良いんじゃないかなと思っています。

正直、起業っていうのは心身の両面で大変なことが必ずあります。

なので、いきなり完全に「ゼロ→イチ」の事業を立ち上げる必要はないんじゃないかなと。

例えば、今の仕事を続けながら空いていている時間で自分の想いを込めて新しいことに手を出してみたり、まずは稼げるしくみを作って軌道にのってから本格的にスタートしたり。そういう感じで、最初は「ベースの仕事+αで起業」もアリだと思います。

現在の僕のように、覚悟を決めて完全に独立する、そんな「背水の陣」でやってもそれはそれで楽しいのですが、全部が楽しいことではないので(笑)

「絶対にこうじゃなきゃダメ!」とは考えずに、自分に合う起業のスタイルを見つけてもらいたいですね。

やまもと社長はどんな人?

やまもとさんには「柔軟な方」という印象を持っています。

先ほど僕らが運営するオウンドメディアの話をしましたが、このお話を以前やまもとさんにしたときに「いいね!」とおっしゃってくださって。ご自身の事業にもすぐに取り入れていらっしゃいました。

「良いものはどんどん取り入れよう!」という姿勢は、簡単なようでいて、実は「できる人」と「できない人」に分かれると思うんですよ。

ちなみに僕自身も、人の良いところをマネするのは得意で(笑)オウンドメディアも、そもそも他でやっていたスタイルをマネして始めた経緯があります。

やまもとさんは「良いものを自分の事業にどう活用していくか」を考えるのがすごく得意な方じゃないかなと感じています。

お互いに年齢も1つしか違わないですし、僕もやまもとさんに負けないようにやっていきたいですね!

まとめ

起業のカタチや正解は一つではありません。

中島さんもおっしゃっているように、ご自身の考え方や理想に合う「自分らしい起業スタイル」を見つけていくことが、起業を成功させるためにはとても大事です!

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