障がい者アートを商品化し障がい者の自立につなげる取り組みの一環として、2023年7月1日に「川越リアートフェスティバル」が開催されました。
同フェスティバルの発案者・ヴェソラウスキー阿里耶(ありや)さんは、LIBERTY受講生。今回は、イベントを見事成功に導いた阿里耶さんと、ステージ出演などイベントに協力したCOEDO KAWAGOE F.Cの藤川 永吉さんにお話をうかがいました。
イベントを企画したきっかけやイベント関連のエピソード、LIBERTYの魅力など、「新しいビジネスを世に送り出したい」「働き方を変えたい」という方にとって参考になるお話ばかりなので、ぜひチェックしてください。
目次
「川越リアートフェスティバル」について
やまもと社長:今回は、「川越リアートフェスティバル」について、発案者の阿里耶さんとCOEDO KAWAGOE F.Cの藤川さんにお話をうかがいます。阿里耶さんと藤川さん、簡単な自己紹介をお願いします。
阿里耶さん:私は地元・川越で小江戸川越観光親善大使をしています。合同会社ARIYAコーポレーションを設立し、イベントMCや結婚式・式典の司会の他、観光事業に取り組んでいます。川越の観光はインバウンドなどで盛り上がっているのですが、日帰り観光がメインで宿泊につながらないなどの課題があるのが現状です。課題解決に向け、体験ツアーの企画・運営などに携わっています。
やまもと社長:ありがとうございます。藤川さんお願いします。
藤川さん:COEDO KAWAGOE F.Cの藤川です。当クラブは、埼玉県川越市からJリーグを目指すサッカーチームで、今は埼玉1部リーグに所属しています。地域に貢献し、地域の皆様と一緒に活動中です。私自身は、2年間選手とクラブ運営事業どちらにも携わり、現在は、事業に専念しています。
やまもと社長:あらためて、「川越リアートフェスティバル」の概要について教えてください。
阿里耶さん:川越の「障がい者アート」をブランド化して、世界に発信する取り組みのキックオフイベントとして開催しました。
やまもと社長:そもそも「障がい者アート」とはどんなものなのでしょうか?
阿里耶さん:障がい者の方が生み出した芸術作品のことです。いろいろな障がいを持っている方々が絵を描いていて、本当に素晴らしいんです!例えば、私が今日着ているTシャツも障がい者の方が描いた絵をプリントしています。白黒の猫ちゃんをモデルに描いているのですが、とてもカラフルでポップな作品になりました。
やまもと社長:すごく素敵ですね!
阿里耶さん:すごい才能を持っているのですが、障がい者施設に通っていたり普通の就職ができなかったりする方が少なくありません。障がい者施設に通っている方々の働き方は大きく二つあって、一つは「就労継続支援A型事業」といって雇用契約を結んで給料が出る働き方です。
もう一つは、「就労継続支援B型事業」といって雇用契約は結ばず、作業した分のお金がもらえる働き方です。就労継続支援B型事業で働いている方々の多くが、このような絵を描いています。やまもと社長、そういった方々の月収はどのくらいだと思いますか?
やまもと社長:10万円くらいだと思います。
阿里耶さん:実は、1万5000円くらいなんです…。生活するには少なすぎる金額ですよね。こんなに素晴らしい絵を描いているのだから、高単価の商品にして販売することで、彼らの生活をもっと豊かにするサポートができたらと思って、取り組みをはじめました。
やまもと社長:すごくいいですね。素晴らしい作品に価値を感じてくれる人たちに販売することで、障がい者の経済的自立といった社会課題を解決する試みなんですね。
阿里耶さん:そうなんです。まずは川越で成功させ、全国そして世界へと広めていけたらと考えています。
やまもと社長:川越から世界を変えていくんですね。そういった取り組みをしようと思ったきっかけを教えてください。
阿里耶さん:出産がきっかけです。私は、1人目の子どもの出産が40歳の時、2人目は42歳くらいと高齢出産だったんです。高齢出産だとダウン症の子どもが生まれる確率があがるので、出生前検査をすすめられ、初めて障がい者やその家族の存在を身近に感じました。
そこからもっとちゃんと知りたいと思って川越の障がい者施設を見学し、月収1万5000円という現実や障がい者アートという素晴らしい存在に触れたんです。川越の観光課題を解消するために体験ツアーなどを企画しているので、同じ発想で障がい者アートの商品化に取り組もうと思いました。
やまもと社長:現状を知って事業化しようと思えるのってすごいことだと思うのですが、何がそこまで阿里耶さんを突き動かしたのでしょうか?
阿里耶さん:二つあって、一つはもともと社会課題の解消に向けた取り組みをしたいという思いがあったんです。「誰かの役に立ちたい」という思いがすごくあり、観光事業もそういった観点からスタートしています。
もう一つは、すでに同じような取り組みに成功している会社の存在です。前例があるから、できなくもないと感じたのが大きいですね。
イベント開催のために取り組んだこと
やまもと社長:イベントを開催するにあたって、どのように行動したのか教えてください。
阿里耶さん:どうすれば若者に参加してもらえるのかを考えて企画を立てました。私はすでにミドル世代なので、ゆくゆくは若者に引き継いでほしいと思ったんです。また、川越は若者の観光客が多い街です。その利点を活かし、観光客の若者と地元の若者どちらも取り込みたいという思いがありました。
若者に来てもらうために、いわゆる福祉色の強い堅い感じのイベントにはせず、アートを前面に出した楽しいアートフェスを目指しました。若者にとって魅力的なイベントを実現する一環として、COEDO KAWAGOE F.Cさんに協力をお願いすることにしたんです。
やまもと社長:どういった流れで、声を掛けたんですか?
阿里耶さん:川越のニュースを紹介する『川越経済新聞』さんというWebメディアのデザイナーの方と知り合いで、紹介してもらいました。「障がい者アートのイベントをするので、ぜひ選手の方に、当日のステージに登壇していただきたい」とお願いしたんです。
やまもと社長:藤川さんは話を聞いて、どう感じましたか?
藤川さん:「本当に素敵な取り組みだな」というのが第一印象です!参加を決めた理由はいくつかあって、一番大きいのは、COEDO KAWAGOE F.Cのパートナー企業さんのなかには障がい者支援施設なども多く、福祉という分野が常にクラブの身近にあったことです。
あとは、やまもとさんから阿里耶さんの話を聞いていて人柄を知っていたこと。先ほど阿里耶さんのお話に出た、障がい者アートの取り組みに成功している企業さんの創業地が僕の出身地である盛岡市で、障がい者アートを商品化する活動そのものは前から知っていたことなども理由です。いくつもの思いが重なって「ぜひご一緒させていただきたい」とお返事しました。
イベントによって得た学びや気づき
やまもと社長:イベントを振り返って、一番大変だったことを教えてください。
阿里耶さん:お金の面が一番の課題でした。実行委員がボランティアメンバーとして集まっていろいろサポートしてもらい運営するなかで、やはり交通費などをしっかり払いたいと思うようになりました。
今後のことを考えると、商品化していくなかでお金を稼げる仕組みをつくらなければ、結局イベントを1回やっただけで終わっちゃうなと感じています。そういった厳しさに触れ、ちょっと身の引き締まる思いですね。
やまもと社長:1回イベントを実施したからこそ出てくる、ポジティブな課題ですね。逆に、特に嬉しかったことや良かったことなどがあればお願いします。
阿里耶さん:いろいろな方が協力してくれて、思った以上に人とのつながりが広がったことです。この活動をしたおかげで、COEDO KAWAGOE F.Cさんもそうなのですが、幅広い企業さんや著名人、議員さんなど、川越のために活動しているいろいろな人たちと出会えました。どんどん人とつながれて、応援してもらえるのはすごく嬉しいですね。
やまもと社長:阿里耶さんの思いやいろいろな人に声を掛けている姿が伝わったからだと思います。
阿里耶さん:あとは、障がいや福祉を多くの人に知ってもらえるきっかけになったのも良かったですね。障がい者アートの商品化に向けいろいろ走り出しているなかで、やはり障がい者や福祉の領域ってきっかけがないとみんな知ることがないと感じています。
やまもと社長:確かに障がい者の存在は知っていても、日ごろ接する機会はあまりないかもしれません。
阿里耶さん:私は高齢出産でダウン症の子どもが産まれる可能性があると知ったのがきっかけですが、実は障がい者のうちダウン症の人は3割くらい。それ以外のほとんどの障がいは出生前検査などではわからないものです。お母さん・お父さんの年齢関係なく、誰もが産む可能性があるのに、知らない人が多いんですよね。
自分が障がいを持つ子どもを産んで、初めて障がいや福祉について知るという現実があります。たくさんの人に障がいや福祉のことを知ってもらい、どの子どもも特別な苦労をせず、楽しく生きられる仕組みをつくっておくことが大切だと考えています。
やまもと社長:とてもいい気づきですね。藤川さんはイベントにどのような関わり方をしたのでしょうか?
藤川さん:選手と一緒にステージに立ったり、障がいアートとのコラボTシャツを作ったりしました。本来は白抜きのロゴの部分に、さまざまな方の作品を使用して、カラフルに仕上げています。
あとは、サッカーボールですね。クラブからボールを一つ提供して、川越市内の障がい者施設の方々に少しずつ絵を描いていただき、リレーをしていくという取り組みをしました。
やまもと社長:素敵ですね。大変だったことや良かったことがあれば教えてください。
藤川さん:阿里耶さんにお任せした部分が多いので、そんなに大変なことはありませんでした。障がい福祉というテーマを持つだけあって社会貢献性が高く、いろいろな人を巻き込んだ、本当に素晴らしいイベントでしたね。
実際にコラボした商品を手に取ってみて、シンプルにアート商品としてすごく魅力的だと感じました。イベントを通して、とても大きな気づきを得られたと思っています。
やまもと社長:本当に大成功ですね。NHKや読売新聞、朝日新聞などいろいろなメディアに取り上げられていて、すごいなと思いました。
阿里耶さん:ありがとうございます!
起業からこれまでの歩み&LIBERTYの魅力
やまもと社長:せっかくの機会なので、イベントを開催するまでの阿里耶さんの道のりについて聞きたいと思います。実は、会社を設立してからけっこう経っているんですよね。
阿里耶さん:もう6年になります。
やまもと社長:すごいです。会社を設立したきっかけについてお聞かせください。
阿里耶さん:会社を設立する前はプロダクションに所属して、MCや音楽活動をしていたんです。小江戸川越観光親善大使に任命してもらえたのも、川越のB級グルメのテーマ曲「川越名物太麺やきそば」を作曲して歌ったからです。
ある時、プロダクションが分割することになったのですが、どちらについていっても角が立ちそうで…。そんな時に、川越の街の人が心配して「もう独立しちゃいなよ」って声を掛けてくれたんです。最初は「無理」と言ってたんですけど、いろいろ考えて独立を決意しました。
やまもと社長:なるほど。独立せざるを得なかったんですね。最初は不安も大きかったのではないでしょうか?
阿里耶さん:正直、不安しかありませんでした。とりあえず川越の商工会議所に入って、起業セミナーを受講して、経営のポイントについて学びました。とはいえ、やってみないとわからない部分が多かったですね。
やまもと社長:起業してからずっと観光とMCの仕事を続けているといった感じですか?
阿里耶さん:はい。観光の仕事を始めたのは起業セミナーがきっかけです。自分のやりたい事業をプレゼンする機会があり、川越の観光事業の企画を発表したらなんと優勝して、そのまま調子に乗っていろいろな体験ツアーを開催しています。
やまもと社長:すごい、そんなきっかけだったんですね。約2年前にLIBERTYの受講をスタートしたきっかけについて教えてください。
阿里耶さん:障がい者アートを商品化したいと思ったのがきっかけです。私は物販ビジネスの経験はありませんし、そもそもお金儲けはへたくそなんです。でも、商品化してブランドを育てるとなると、売れて儲かる仕組みをつくらないと駄目なのはわかっていました。
そこで、起業セミナーに入って、ちゃんと勉強したいなって思ったんです。集客の仕組みって取り扱うものが違っても応用できるので、体験ツアーの集客にもつながると期待していました。
やまもと社長:約2年間LIBERTYでの学習を続けてきて、良かったことありますか?
阿里耶さん:やっぱり素敵な人が集まっていることです。本当に良い仲間に恵まれたなと感じています。これはLIBERTYに入った全員が思っているんじゃないでしょうか。
やまもと社長:そう言ってもらえると嬉しいですね。起業してから変わったことがあれば教えてください。
阿里耶さん:責任感と社交性ですね。プロダクションにいたときは、お仕事はマネージャーさんたちが探してくるというスタンスでした。でも自営になってからは、自分で仕事を探しにいかないといけないので、責任感が強くなりました。
あとは、より社交的になりましたね。仕事で関わる方たちに感謝の気持ちをさらに持てるようになり、自分から積極的に話しかけるようになりました。自営をするうえで人脈づくりはすごく大切なので、意識的にいろいろな人とコミュニケーションを取るようにしています。
今後の展望
やまもと社長:今後の目標についてお聞かせください。
阿里耶さん:社会の役に立つ活動でマネタイズすることです。マネタイズって人の役に立つうえですごく大事だと思うので、どんどんその点をクリアして、わくわくしながら前に進みたいですね。
やまもと社長:これから、自営業をスタートするなど働き方を変えたい人に向けて、メッセージをお願いします。
阿里耶さん:臆することなく進んでいって欲しいですね。大変なこともあると思いますが、素敵な仲間がアドバイスをくれたり助けてくれたりするので、どんどん進んでいくことが大切だと思います。
やまもと社長:阿里耶さんはガンガン進んでますもんね。自営業の場合、進むしかないと思います。最後に、お二人が僕にどんなイメージを持っているのか教えていただきたいです。
阿里耶さん:やまもと社長からの言葉で「3%でいいからやってみる」というのがすごく印象に残っています。みんな挑戦しようとすると構えてしまって、何かアイデアがあっても「もっと勉強しなくちゃ」と思いがちです。だからこそ、やまもと社長の言葉はすごく響きましたし、その言葉があるからこそ進めると感じています。今回のイベントを実行する原動力にもなりました。
やまもと社長:ありがとうございます!僕はいつもそういうスタンスで取り組んでいて、今も日本の素晴らしい食品を世界に届ける事業をスタートしたところです。
藤川さん:そんな取り組みをしているんですね。僕も阿里耶さんと似た内容ですが、常に新しいことにチャレンジしている印象がすごく強いです。今の事業のお話もそうですし、止まらない方だなと。
やまもと社長:走り出したら止まらないタイプなんです(笑)。阿里耶さん、藤川さん、本日はありがとうございました!
まとめ
障がい者アートの商品化を通して、障がいのあるなしに関わらず楽しく生活できる社会の実現を目指す阿里耶さん。
障がい者アートの商品化という着眼点の鋭さ、実際にイベントの開催に向け臆することなく進む姿勢など、起業や新しい働き方を目指す人にとって、非常に参考になる部分が多いのではないでしょうか。
LIBERTYでは、阿里耶さんのように「3%でいいからやってみる」の精神でチャレンジをする受講生がたくさんいます。素敵な仲間の刺激を受けながら成長できる環境で、新しい一歩を踏み出しませんか?