目標設定の方法とは?立て方のコツとSMARTの法則についても併せて解説

物事に取り組んで成果を出すためには、目標を立てることが大事です。しかし、「目標の立て方がわからない!」「目標設定のコツが知りたい!」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「目標設定のやり方やコツ」について、わかりやすく解説していきます。目標を立てるメリットや達成するためのポイントなども紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

目標を立てる意味・メリット

そもそも目標を立てることには何の意味があるのでしょうか。この章では、まず「目標を立てることのメリット」について簡単に解説します。

具体的には、以下の4点です。

  1. モチベーションを維持できる
  2. 時間やコストを効率的に使える
  3. とるべきアクションが明確になる
  4. 進捗状況を把握しやすくなる

順に見ていきましょう。

モチベーションを維持できる

目標を立てる1つめのメリットは、「モチベーションを維持しやすくなる」ことです。

トロント大学のゲイリー・レイサム教授及びメリーランド大学のエドウィン・ロック教授が行った研究によると、目標を立てることでやる気やモチベーションが上がり、さらに自信や自尊心が向上することがわかっています。

また、精神科医の樺沢紫苑氏によると、目標に向かって努力するプロセスにおいては、脳内の神経伝達物質であるドーパミンが大量に分泌され、モチベーションを維持しやすくなることが示されています。さらに、設定した目標を実際にクリアすることで、再びドーパミンが分泌され、モチベーションの向上につながっていくそうです。

ただし、抽象的な目標を設定している場合や、そもそも達成不可能な目標を設定している場合は、逆にモチベーションが低下してしまう恐れがあるので、十分に注意してください。

時間やコストを効率的に使える

2つめのメリットは、「時間やコストを効率的に使える」ことです。

当たり前ですが、時間やコストは有限です。とくにビジネスにおいては、限りあるリソースを最大限有効に活用しながら、成果を上げなければなりません。

そうしたなか、目標設定をしていないと、どこに向かってどのように進んでいくべきなのかを把握できず、無駄な時間やコストが発生してしまいます。かけた労力の多くが水の泡となってしまうこともあり得ます。

一方で、目標をしっかりと設定しておけば、時間やコストを無駄にすることなく、最短ルートでその目標に向かうことができます。

とるべきアクションが明確になる

3つめのメリットは、「とるべきアクションが明確になる」ことです。

最終的なゴールを把握できていないと、「結局のところ何をすればよいのかわからない」という状態になってしまいがちです。

しかし、目標設定を行い、目指すべきゴールをはっきりさせておけば、「現状とのギャップを埋めるために何をすればよいのか」をイメージしやすくなります。ゴールに到達するまでのステップや、達成すべき項目などが分かるため、具体的な行動を起こせるようになるでしょう。

進捗状況を把握しやすくなる

4つめのメリットは、「進捗状況を把握しやすくなる」ことです。

上述の通り、目標を設定することで、とるべきアクションが明確になります。そのため、「いつまでに・何を・どの程度やればいいのか」を整理しながら、細かいスケジューリングが可能となるわけです。

進捗状況の測定・把握もしやすくなるため、タスクの抜け漏れ防止・遅延防止・問題点の早期発見といったメリットも期待できるでしょう。また、「スケジュール通りに進んでいるか」「ゴールまでどれくらい進んだのか」がわかれば、前進している感覚を得られるため、モチベーションの向上にもつながります。

目標の立て方【4STEP】

この章では、「目標の立て方」について説明していきます。
基本的には、以下の4つのステップで進めていきます。

  1. 目標をジャンル分けする
  2. 指針を決定する
  3. 具体的な行動を決定する
  4. 期限を設定する

ぜひ参考にしてください。

目標をジャンル分けする

まずは、目標をジャンル分けしましょう。

「目標」とひとくちに言っても、ビジネス・日常生活・健康・家族・人生・学校など、さまざまなジャンルの目標があるはずです。また、ビジネスに関する目標だとしても、「組織的な目標なのか個人的な目標なのか」「スキル面なのかマインド面なのか」「簡単なのか難しいのか」といった観点で分類することができます。

自分が設定したい目標はどのようなジャンル・属性の目標なのか、あらためて分析してみてください。自分の目標を客観視できるうえ、優先順位などもつけやすくなるでしょう。

指針を決定する

次に、指針を決定します。ここで言う指針とは、自分の理想像やありたい姿のことを意味します。

指針を決めずに目標だけ設定してしまうと、結果的に失敗する可能性が高くなります。たとえば、「今年中に10kg痩せる」という目標だけを設定するようなケースです。まず決めたいのは、「10kg痩せる」という目標ではなく、その先にある指針です。

「体脂肪を減らして病気のリスクを下げ、健康的な生活を送りたい」
「カッコいい体になって異性からモテたい」
「理想としている体型があって、少しでもその体型に近づきたい」

このような指針を決めておくことで、「そもそもなぜ10kg痩せたいのか」「10kg痩せてどうなりたいのか」を常に頭の中でイメージできるようになります。そのため、ゴールに向かって、より正しいアプローチ方法で進んでいけるようになるでしょう。

具体的な行動を決定する

指針が決まったら、しっかりと目標を定め、その目標を達成するための具体的行動を考えてください。たとえば、以下のようなイメージです。

【目標】
・日商簿記検定2級を取得する
 
【具体的行動】
・テキストを完読する(最低3周)
・問題集を解く(最低3周)
・過去問5年分を解く(最低2周)
・予想問題集を解く(最低2周)

【目標】
・半年で10kg痩せる
 
【具体的行動】
・毎日15分ランニングする
・毎日湯船に浸かる
・意識的に階段を使う
・お菓子を控える
・ジュースをやめる
・意識的に野菜を摂取する
・食べたものを記録する

【目標】
・残業時間を10時間から3時間まで減らす
 
【具体的行動】
・毎朝の定例ミーティングをやめる
・仕事に優先順位をつける
・議事録の自動作成ツールを導入する
・タスク管理ツールを活用する
・ペーパーレス化を進める

期限を設定する

最後に、期限を設定しましょう。

「何をやるか」が決まっても、「いつまでにやるか」が決まっていないと、なかなか目標を達成することはできません。

そのため、最終的な目標の期限を決めたら、中期目標と短期目標の期限も設定してみることをおすすめします。たとえば、「半年以内に10kg痩せる」と決めたのであれば、「3ヵ月で5kg痩せる」「1ヶ月で2kg痩せる」「1週間で0.5kg痩せる」といったイメージですね。

月単位や週単位など、なるべく細かく達成期限を設けておくことで、ゴールまでの距離や進捗状況を把握しやすくなります。さらに、小さな成功体験を積み重ねられるので、モチベーションの維持にもつながるでしょう。

SMARTの法則とは

皆さんは「SMARTの法則」というものをご存じでしょうか。SMARTの法則とは、アメリカの学者ジョージ・ドランによって提唱された「目標設定のためのフレームワーク」であり、以下の5つの英単語の頭文字をまとめたものです。

  • Specific(具体的に):誰から見ても明確な目標であること
  • Measurable(測定可能な):目標までの達成度合いを測定できること
  • Achievable(達成可能な):理想や願望ではなく、現実的に達成可能な目標であること
  • Relevant(関連性のある):自分のキャリアや組織のミッションと関連していること
  • Time-bound(期限のある):達成期限が妥当に設定されていること

上記5つの要素に焦点を当てることで、「自分にとってベストな目標」を立てやすくなります。目標設定を行う際は、ぜひ「SMART」を意識するようにしてみてください。

上手な目標設定のコツ5選

この章では、「上手な目標設定を行うためのコツ」を紹介していきます。

  1. さまざまなフレームワークを活用する
  2. 小さい目標から始める
  3. 目標の数を絞る
  4. 実際に紙に書き出してみる
  5. 周りと比較しない

ぜひ頭に入れておきましょう。

さまざまなフレームワークを活用する

まずおすすめしたいのは、目標設定のためのフレームワークを活用すること。

実は、先ほど紹介した「SMARTの法則」以外にも、さまざまなフレームワークが存在します。たとえば、以下の通りです。気になるフレームワークがあれば、ぜひ活用してみてください。

【ベーシック法】

基礎的なフレームワーク。「向上・強化」「改善・解消」「維持・継続」「創出・開発」の4つのタイプから目標項目を選び、達成基準と期限を明確にして、具体的な行動計画を定めていきます。

【三点セット法】

ベーシック法を掘り下げたフレームワーク。ベーシック法で定めたものに加え、「テーマ」「達成レベル」「達成時期」の三点を設定します。

【ランクアップ法】

「自分自身の成長」にフォーカスしたフレームワーク。以下の6つの切り口で、目標項目を検討していきます。

  • 改善(現在抱えている問題を解決するための目標)
  • 代行(他人の業務を代行できるようになるための目標)
  • 研究(特定のテーマについて研究するための目標)
  • 多様化(多様なスキル・知識を習得するための目標)
  • ノウハウの普及(自分のスキルを第三者に伝えるための目標)
  • プロ化(自分のスキルをプロレベルまで引き上げるための目標)

【ベンチマーク法】

ライバルや競合他社を基準として目標設定を行う手法。自己分析と競合分析を徹底しながら、基準となる相手を追い越すことを目指します。

小さい目標から始める

小さい目標から始める」ことも大切です。

もちろん大きな夢や目標を掲げるのは悪いことではありませんが、いきなり大きなゴールを設定してしまうと、途中で挫折する可能性が高くなります。ゴールまでの距離が見えなくなり、「何をすればよいのかわからなくなった」「正しい目標なのか迷いが生じてきた」などと感じてしまう危険性もあるでしょう。

そのため、まずは小さな目標を設定し、着実にステップアップしていくことをおすすめします。スモールスタートを心掛け、簡単な目標を確実にクリアしていけば、しっかりと達成感を得られますし、モチベーションも向上していくはずです。

目標の数を絞る

達成したいことがたくさんある場合でも、同時期に設定する目標の数は1つか2つに絞りましょう。あれもこれもと目標を立てすぎてしまうと、どの目標に注力すればよいのか判断できなくなり、すべて中途半端に終わってしまう可能性があるからです。

ニューヨークタイムズのベストセラー『Atomic Habits』の著者であるジェームズ・クリアー氏も、「目標達成における最も大きな障害はほかの目標の存在である」と指摘しています。

ゆえに、いきなり複数の目標に取り掛かるのではなく、まずは重要度や優先度の高い目標に絞ってみることを推奨します。

実際に紙に書き出してみる

実際に紙に書き出してみる」のも効果的です。

頭の中で目標をイメージするだけでは、どうしても主観的視点に陥ってしまい、現実的な目標設定を行うことができません。「こんな感じの目標でいいかな」と何となく頭の中で決めてしまうのは避けましょう。

大切なのは、頭の中に描いた目標を、実際に紙に書き出して可視化することです。「書き出す」という身体的動作が伴うことで頭の中はさらに整理され、「この目標は本当に正しいのかどうか」を客観的な視点で分析できるようになります。

周りと比較しない

基本的に、目標設定を行う際は、周りと比較しないようにしましょう。

「こんなに低い目標を立てて大丈夫なのかな」「誰かに知られたら笑われるかも」と不安になる必要はまったくありません。重要なのは、「自分にとってベストな目標であるかどうか」です。

一番高い目標を設定した人が一番偉いわけではありませんので、安心してください。自分なりの目標を立て、自分のペースで進んでいけばよいのです。ぜひ、他人の目標は気にせずに、自分自身とだけ向き合いながら目標設定を行うようにしてください。

目標を達成するためのポイント

最後に、「目標を達成するためのポイント」について簡単に解説します。
具体的には、以下の3点です。

  1. ツールを活用する
  2. 第三者に目標を伝えてみる
  3. 定期的に振り返り、場合によっては修正する

ツールを活用する

まずおすすめなのは、目標管理ツールを活用すること。ツールを使うと、目標の達成度合いを可視化できるうえに、タスクの抜け漏れなどを防ぐこともできます。
代表的なツール・アプリを以下に紹介します。興味がある方は、ぜひ試してみてください。

【無料で使える目標管理ツール・アプリ4選】

  • Microsoft To Do
  • Todoist
  • Notion
  • Google Keep

第三者に目標を伝えてみる

思いきって第三者に目標を伝えてみる」のも効果的です。

たとえば、親しい友人に「私、半年後には10kg減量するから!」と宣言するようなイメージです。

自分の目標を誰かと共有することで、「他者から見られている」という緊張感を持てるようになるでしょう。また、「言ったからには達成しなければならない」という気持ちが生まれ、やる気やモチベーションの向上につながります。

定期的に振り返り、場合によっては修正する

設定した目標は、定期的に振り返るようにしてください。場合によっては、軌道修正しても問題ありません。

仕事やプライベートの環境が変わったり、考え方や価値観が変化したりすれば、以前設定した目標も調整していくべきでしょう。「もうその目標に魅力を感じなくなった」「その目標を達成する必要がなくなった」というケースもあるかもしれません。

そのため、定期的に目標や行動計画を見直し、柔軟に修正していくことが大切です。

まとめ

「目標設定の方法・コツ」についてまとめると、以下の通りです。

【目標の立て方|4STEP】

  1. 目標をジャンル分けする
  2. 指針を決定する
  3. 具体的な行動を決定する
  4. 期限を設定する

【上手な目標設定のコツ5選】

  1. さまざまなフレームワークを活用する
  2. 小さい目標から始める
  3. 目標の数を絞る
  4. 実際に紙に書き出してみる
  5. 周りと比較しない

目標は、やみくもに立てようとしてもうまくいかないことも多いものです。ぜひ当記事を参考にし、ポイントをおさえたうえで、皆さんにとってベストな目標を設定してみてください。

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