「働き方を変えたい、もっと自由に働きたい」という思いを持って、自ら起業に挑戦された方にリアルなお話を聞く「起業家インタビュー」シリーズ。
今回登場していただくのは、東京都世田谷区で脱毛サロンを経営されている、市川円香さんです。
10年以上過ごした芸能の世界から、コロナ禍による仕事激減の大ピンチを乗り越えるべく、美容業界へ転身。初めての起業に挑戦し、現在では6名のスタッフを抱える経営者として活躍されている市川さん。
起業に至るまでの苦労や、起業してからの生活・価値観の変化、これから起業したいと考えている方へのメッセージまで、貴重なお話をたくさん聞かせていただきました!
目次
市川さんプロフィール・事業紹介
プロフィール
市川円香さん
奈良県出身。10代の頃から芸能の世界に憧れ、高校卒業後に上京し、芸能プロダクションに所属。モデルやタレント、舞台女優などとしてキャリアを積み重ねる。2020年、新型コロナウイルスの蔓延をきっかけに、新たな挑戦として脱毛サロン開業を決意。現在は経営者として、東京・三軒茶屋で6名のスタッフと共にサロンを運営中。
事業内容と規模感
東京都世田谷区・三軒茶屋駅の近くで脱毛サロンを経営しています。規模感としては、私以外に女性スタッフが4名・男性スタッフが2名、計7名の体制です。普段は私自身も現場に出て施術を行っています。
現サロンの前は、同じ東京都内の中野坂上という場所で1年半ほど営業しており、そこから現在の場所へ移りました。
起業以前に経験してきたこと
兄の後押しを受けて憧れていた芸能の世界へ
私は奈良県の出身です。中学・高校時代はちょっと背伸びした時期もありつつ、楽しい思春期を過ごしていました。本格的に将来のことを考え始めたのは、ちょうど周りの子たちが「高校卒業後はどうする?」と話し始めた頃。当時の私はとにかく勉強が大嫌いで、遊びに夢中(笑)。大学進学にはまったく興味を持てなかったんです。
一方、アイドルや芸能の世界にはとても憧れがありました。でも、そんな華やかな場にいる人たちは「雲の上の存在」と思っていましたし、親も芸能の道を目指すことについては厳しく、賛成してくれる感じではなくて。
そこでいったんは現実的な進路を考えたのですが、7つ上の兄が「自分はやりたいことを諦めてきた。お前には同じようにはなってほしくない!」と強く言ってくれたんです。その兄は芸能オーディションにプロフィールや写真を送ってくれたりもして、結果的に東京のプロダクションに所属することが決まりました。
このとき私が本当に進みたい道を選択することができたのは、兄のおかげです。
着実にキャリアを積み重ねる充実した日々
プロダクション所属当初、私は19歳でした。当時、それくらいの年代の女の子がタレントや女優を目指すとなると、まずはグラビアが登竜門だったんですね。そんな業界の流れにのって、私も最初はグラビアのDVDや写真集など、さまざまなお仕事に挑戦しました。その後しばらくはドラマやモデルのお仕事も含め、芸能一本での生活を続けました。
ひとつの転機を迎えたのは、ちょうど25歳を超えたくらいの頃。それまで中心だったトークや魅せる仕事から、今後は本格的に演技・お芝居を学んで女優を目指すことを決めたんです。それからは舞台中心にいろいろな仕事をいただけるようになって、毎日がとても充実していました。
ただ、30歳を迎えてからは「結婚がしたい、子どももほしい」と、少しずつ気持ちの変化がありました。また、ちょうどその時期に母親が病気を患ってしまったんです。母親を安心させるためにも落ち着こうと考えて、当時お付き合いしていた人と33歳で結婚をしました。
起業することを決めた理由
結婚後は、ありがたいことにすぐ子どもができ、育児のスキマで芸能活動をする日々を続けました。
ただ、子どもが2歳くらいになり、ちょうど保育園に預けられるようになったタイミングで新型コロナウイルスが蔓延し始めて…。出演予定だった舞台の仕事は大きな影響を受け、自分で企画していたイベントも即中止になりました。
我が家は夫も芸能界で働いているので、最初の緊急事態宣言が出た頃は、まさに「家族共倒れ」になりそうな状況でした。これから子どもにもお金がかかるというのに、芸能の仕事は一切入らず、今月来月のギャラが見込めません。しかも、その状態がいつまで続くかわからず、大きな不安を感じていました。
とにかく目の前の収入をどうにかしなくてはならなかったので、夫はアルバイトを探すことに。「私も何かやらなきゃ!」と考えていたとき、ふとしたタイミングで十年以上ぶりの友人と、たまたま連絡を取ることがあったんです。
その友人との会話の中で「今はエステ・脱毛サロンの開業支援の仕事をやっている」と聞いたんです。「女性の自立のためのお手伝い」というキーワードも出てきたので、すぐに「これだ!」とピンときて、詳しくお話を聞かせてもらいました。これが、サロン開業を決意するきっかけとなった出来事です。
こんな経緯なので、私がこの世界に入ったきっかけは、本当に「たまたま」なんです。きっかけをくれた友人と「たまたま」連絡をとっていなかったら、今はこの仕事をしていなかったかもしれません。
起業前に苦労したこと・実践したこと
開業に向けた準備は初めてのことばかりで、何から何までが大変でした。芸能の仕事も自営業のようなものではありましたが、「経営」に関しては知識ゼロからのスタート。美容業界での勤務経験もありませんでしたし、当時の私は脱毛サロンに通ったことがなくて、脱毛サロンがどういう場所なのかもハッキリとわかっていなかったんです。
開業支援をしていただいた方には、本当に経営の知識・技術・ノウハウのすべてがない状態から、一つひとつ丁寧に教えていただきました。ただ、まったく知らない世界に入ることに、あまり抵抗はなかったです。昔から「自分の好きなことにはどんどん飛び込んでみよう!」というタイプだったのもあるかもしれません。
また、今振り返ってみると、芸能の仕事を通じて「コミュニケーション力」を身につけていたことは良かったですね。コミュニケーション力は「生きる術」ですし、それがあったからこそ何とかやっていけたところもあるかなと思っています。
起業後に大変だったこと・実践したこと
何もかもが初めての経験!小さなトラブルにも大慌ての連続
開業してからも何もかもが大変と感じていたのですが、ひとつ開業直後で印象的な出来事があります。ようやく初営業を迎えた日、さっそく脱毛の機械が立ち上がらなくなってしまったんです!まさにお客様がいらっしゃる直前の出来事だったので、その瞬間はとても焦ってしまいました。
結果的にはなんてことはなく、単に安全ボタンのスイッチが入っていただけ、みたいなことで(笑)。今なら笑ってお話できるのですが、スタート直後は、それくらい些細なことにも常に焦っていました。
無理に売り込むのではなく「お客様との関係づくり」を大切にする
もうひとつ、サロンを開業して大変だと感じたのは、お客様に商品をどう販売していくかについてです。
というのも、芸能の仕事では「自分自身」を売り込むことを当たり前にやっていたんです。でも、サロンでは自分以外の「商品」をおすすめしなくてはなりません。最初はそこに大きな違いを感じて、お客様にどうやって商品の魅力を伝えればいいのだろうと苦戦しました。
今もまだまだ得意とはいえないのですが、日々実践を繰り返す中で少しずつコツも掴めてきました。普段私が意識しているのは、いきなり商品のことをお伝えするのではなく、まずは「お客様との関係づくり」を大切にすること。「いらっしゃいませ」の瞬間から自分のことをしっかりとお伝えし、そしてお客様のお話もたくさんお聞きして、良い関係が築けるように努力しています。
お客さまと仲良くなって、コミュニケーションの中で自然に商品をおすすめできたときに「あ、こういう感じでいいんだ!」と気付くことができました。それからは、商品をおすすめすることも少し楽しくなってきています。
もし自分がお客様の立場だったら、かしこまって営業をされると身構えてしまいますし、あまり良い印象を受けないと思うんですよね。せっかく個人サロンをやっているので、お客様とは良い意味での「お友達」のような関係になれたら理想的です。そして心から「通いたい!」と思ってくださった方が、気軽に通えるような雰囲気をつくりたいと思っています。
ターニングポイント
「自分の人生が大きく変わった」という意味では、やはり新型コロナウイルスの影響がターニングポイントになりました。
もともと美容とはまったく違う世界にいた自分が、まさか今サロンの経営をしているなんて…。冷静に考えてみても、あの出来事がなければ始めていなかったと思うので、人生はわからないものですよね。
新型コロナは世界中で最大といえるピンチだったと思いますが、それが転機となって、何か新しいことを始められた人もたくさんいたはず。私自身も、その一人だったかなと思っています。
起業をして変わったこと・良かったこと
起業をして変わったのは、以前と比べて自分の時間をつくりやすくなったことです。
芸能のお仕事をやっていたときは、拘束される時間が長い上に不規則な生活スタイルでした。独身時代はそれで問題がなくても、結婚をして、さらに子どもが産まれて…となると、また現場でガッツリと働けるようになるまでには時間がかかるなと思っていたんです。
でも、自分のサロンを立ち上げてからは、自分で時間をコントロールしやすくなりました。
まず営業時間は自分で決めることができますし、今はスタッフの子たちが入ってくれているので、子どもの保育園の事情や「子どもが急に熱を出した!」みたいなことがあっても、誰かに任せやすくなりました。時には「この時間は予約が入っていないから、早めにお店を閉めて子どもと過ごそう!」みたいなこともできます。
もちろん、思い通りにいかない場合もありますし、まだまだ子どもに寂しい思いをさせていることもあるかもしれません。それでも、以前と比べて時間の自由度が増したことは、本当に起業をして良かったことだなと感じています!
今後の展望
実は、今うちのサロンで働いてくれているスタッフの子たちは、私が芸能界で仕事をしていた時の仲間や後輩が多いんです。
私自身、芸能の仕事一本だったときから「収入の安定」を考えると、どうしても不安がありました。どんどん歳も重ねますし、子どもができたときに芸能以外にもうひとつお金を得る手段があると、将来に向けて安心できるなと感じていて。
そんな思いがあったので、自分のサロンは、同じように考えている子たちの受け皿になれる場にしていきたいと考えています。このサロンで働くことで、美しくなるための勉強ができて、お金が稼げて、時間にも融通がきく。そんな場にできたらいいなと思います。その先に、もし「自分も起業してみたい!」と思う子がいれば、私が相談にのることもできますし。
芸能のお仕事をしている子だけに限らず、たとえば同じママさんで、スキマ時間を使って美容関係の仕事をしたいと考える方がいたときにも、受け入れてあげられる場にしていきたいです。
そのためには、私自身がもっともっと実力を高めないと!今のサロンをうまく回していけたら他にも店舗を持てるかもしれませんし、いつかは地元の奈良で店舗を開いてみたいという目標もあります。
過去の経験から大事にしている心構え
ありふれている言葉かもしれませんが、「一期一会」という言葉は、その通りだと実感しています。
私自身、まさに「この人と出会ったから今の自分がある」という生き方をしてきました。今こういうサロン経営に携わることができているのも、大切な出会いがあったからこそです。人との出会いは本当に大切。これからは「円香さんと出会ったからこういう道を歩めた!」と、そんなふうに思ってもらえるような人生を送っていきたいと思います。
起業を考えている方へのメッセージ
起業って、やっぱり勇気がいりますよね。言葉だけを聞くと堅くて難しそうな印象もありますし、失敗したらどうしようだとか、そう考えてしまう気持ちもわかります。
でも、私自身は「失敗してもいいからどんどん進み続けよう!」というタイプなので、あまりネガティブになることはありませんでした。私は大きな失敗につながらないように考えてスタートしたのもありますが、「もし失敗したらしたで、その時に違うことをまた見つけていけばいいや!」くらいに思っています。
「失敗を過度に怖がらず、とりあえずやってみること」が大事なのではないでしょうか。また、何事も自分の中だけで考え過ぎず、人に伝えていくことも必要ですよね。「こんなことやってみたい!」と発信していれば、「知り合いにこういう人がいるから紹介しようか?」と周りの人が助けてくれて、先につながるご縁ができることもありますから。
まずは軽く発信してみるだけでも、最初の一歩としてはいいと思います。そして、なるべくいろんな人に会ってお話を聞きながら歩み始めてみてください。時間はあっという間に流れてしまうものなので、どうか怖がり過ぎずに動いてみてほしいです!
まとめ
「起業」というと、どうしても難しく構えて「自分にはできない…」と考えてしまう方が多くいます。
でも、市川さんがお話されるように、まずは「こんなことをやってみたい!」と周りに伝えるだけでもOK。そんな「小さな一歩」をまず踏み出すこと、そして失敗を怖がらずに挑戦し続けることが、自分の人生を変えていくためにはとても大切です!
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