「働き方を変えたい!もっと自由に働きたい!」という思いを持って、自ら起業に挑戦された方にリアルなお話を聞く「起業家インタビュー」シリーズ。
今回ご登場いただくのは、元理学療法士のご経歴があり、現在は宮城県仙台市でエステサロンを経営されている須田愛子さんです。
シングルマザーとして2人のお子さんを育てながら開業を決意された須田さん。
起業前にどんな葛藤があったのかや、起業前後で大変だったこと、また起業によってご自身の価値観や生活がどう変わったのかなど、貴重なお話をたっぷりと聞かせていただきました!
目次
須田さんプロフィール・事業紹介
須田愛子さん
理学療法士、エステティシャン、セミナー講師
専門学校卒業後、理学療法士として整形外科、小児療育、在宅医療現場で2015年まで勤務。2016年に独立し、現在は宮城県仙台市にてエステサロンを経営。自ら施術に携わるほか、エステスクール講師としても活躍中。
FONDUE:https://fondue-relax.com/
起業の経緯・きっかけ
怪我の経験をきっかけに、人をアシストする職業を志す
セラピストの仕事に興味を持ったきっかけは、高校時代です。もともとバスケットボールをやっていたのですが、高2のときに膝をケガしてしまって。
当時出会ったセラピストさんの下で膝を治療していたときに、もう一回復帰してスポーツを頑張る道もあるけれど、これからは運動経験を活かして人をアシストしていく職業を目指してみたいと思ったんです。
そこで、高校卒業後は専門学校へ進学し、理学療法士の国家資格を取得。卒業後は病院や各種施設のリハビリテーション室などに所属して、幅広い世代の患者さんに関わりました。
身も心もすり減り続けるような毎日
独立・起業を決めた一番の理由は「働き方や生活を変えたい」という思いが強くなったことでした。私は離婚経験があって、シングルマザーとして子ども2人を育てているんです。正直、離婚をしてからは土日も夜も関係なく、バタバタの日々を過ごしてきました。
毎朝7時には子ども2人を両腕に抱えて保育園へ連れて行って、自分は慌ただしく仕事へ…みたいな毎日を過ごしていて、本当に余裕がなかったです。
そうやって過ごすうちに、だんだんと心が疲弊してしまいました。気づけば自然と涙がポロポロ流れてくるようにもなり「一番大事なものって何だろう?」みたいなことを考えるようになって…。
そこで私が大事にしたいと思ったのは、まずは子どもたちと落ち着いて過ごす時間。
そしてもうひとつ、仕事に関して、どこか抑圧していた気持ちが溢れてきて。それまでは病院メインの勤務を続けていましたが、「もっとキレイなところで働いてみたい!素敵な仕事をしたい!」それが当時の自分の本心だなと気付いたんです。
そこからは仕事をスパっとやめて、エステの学校に通い始めました。エステは未経験でしたが夢中で新しいことを覚えていき、そこから起業に至ったという流れです。
「このまま人生を終えたくない!」が起業の原動力に
私が育った家庭は、親が公務員だったこともあって厳格でしたし、わりと安定志向の下で育ってきたと思っています。また、私自身も以前は公的な医療施設などに勤めていたので、待遇としては安定していました。
ただ、お金はあっても、心は全然幸せに満ちていなかったんですよね。当時は毎日あくせく働いて、子育てをしての繰り返しで、本当に自分の時間がなかったです。こういう生活をあと30年、40年と続けないといけないのかなと想像したら、むなしい気持ちにもなりました。
でも、同時に「シングルマザーだからといって、本当にそんな生活を送らなきゃいけないの?」みたいな疑問もあって。「こんな状態のまま人生を終えたくない!」という気持ちが、起業を志す原動力になりました。
起業前に大変だったこと・実践したこと
明確に起業前というよりは、独立前後に感じていたことなのですが…。最も大変だなと感じたのは、まず社会に対して「自分が何者であるか」を表現することでした。
雇われていた時であれば、私自身が何もしなくても会社や周りの誰かがいろんなことを決めてくれて、自然にお客さんが集まります。治療をすれば、お客さんから「ありがとう」と言ってもらえて、決まった日にお給料をもらえます。
そんな、すべて「他力」な状況の中に身を置くことができました。でも、いざ自営業になってみると、何事も自分が行動しない限り状況が動いていかないんですよね。
どれだけキャリアがあっても、ただボーっと座っているだけでは何も起こらない。それが「起業する」ということだと改めて実感しました。
最初は誰も私のことを知らない状態からのスタートだったので、何をすればいいか迷いながらも、とにかく発信を続けました。誰も知らない人に対して「須田愛子のサロンがあるよ!」と伝えていくこと。そういうアプローチを地道にやっていました。
起業後に大変だったこと・実践したこと
起業をして数年経ちましたが、これまで一番大変だったのは、自分の精神を安定させることだったなと思います。無事にサロンをオープンできても、お客様がなかなかいらっしゃらない時期は、どうしても気持ちが不安定になりがちでした。
そんなときでも、変わらずにやっていたのはやはり発信です。以前はアメブロも書いていましたし、FacebookとかインスタとかいろいろなSNSを駆使して、とにかく発信することだけは続けていました。
ターニングポイント
私の人生のターニングポイントと考えると、やはり離婚がとても大きかったです。
離婚前の私は「家族が安定するように」だとか、「義理の親にこういう風にした方がいいと言われた」だとか、そんなことばかり意識していました。自分の考え方や意思よりも、周りの人の期待・思いに沿って動くことが多かったです。
でも、離婚をして、それがきっかけとなっての起業を機に、自分であらゆることを意思決定するようになりました。働き方を変えたことで、結果的には自分の考え方、そして人生そのものも激変したと感じています。
起業をして変わったこと・良かったこと
起業をして自分が変わったと思うのは、何事も人のせいにはしなくなったこと。うまくいかない場合も、まず自分自身がどうすればいいだろうか、と考えられるようになったことです。
雇われていた時は「会社に」、結婚していた時は「夫に」といったように、以前の私は「誰かに何とかしてもらう」という考え方を当たり前に持っていました。実際、離婚前にいろいろあったときにも、私は夫のことをすごく責めてしまいました。でも、一方の夫は私を責めることはなくて。
「覚悟が足りなかったんだろう」ってよく言われていましたが、本当にその通りでした。離婚して10年経って、起業もして、ようやくそんなことを感じるようになりました。最近では当時言われたことを振り返って、自分を見つめ直すことも多いです。
今後の展望
“結果重視”の施術に力を入れていきたい
最初にお話させていただいた通り、私はもともと理学療法士として「運動療法」という分野を専門にし、その後、エステの世界に入った経緯があります。理学療法とエステの施術には、やはり違いがあるんですね。
少し具体的にお話すると、理学療法士の時は、医師の診断にもとづいた「治療」の視点で患者様と関わっていました。ただ、エステに携わるようになってからは、私はお客様にとっての「気持ちよさ」にフォーカスを当てて仕事をしてきたんです。
エステを始めた当時は、あれもこれもと手を伸ばすとブレが出てしまうので、あえて「気持ちよさ」に絞ることで仕事の方向性を明確にしたい、という思いもありました。でも、最近は理学療法士時代の考え方に立ち返って、今以上に「結果」を強く意識した仕事をしたいと考えているところです。
“他力”ではなく“自力”で目標を達成する人を増やしたい
なぜそんなことを思うようになったかというと、今のやり方では、どうしても「他力」を求めるお客様を増やしてしまうのではないかと感じるからです。
具体的にお話すると、例えば「痩せたい」とか「きれいになりたい」と思ったときに、「エステにお金さえ払えばそうなれる!」みたいに思い込んでしまう方が増えてしまうのではないか?と、そんな懸念があって。
もともと私が大事にしたいのは、「こうなりたい」という目標を自ら掲げ、そのために自力で何とかしたいと考えている方へのアプローチなんです。
「自分が本当にこうなりたい!」と考えている方って、他人任せではなく、自分の足で動いたり体を動かしたりができると思っています。私は、そんな方々をアシストしたいですし、そんな考え方を大事にできる方を増やしたいです。
ですので、今後はエステとしての魅力は活かしつつも、自分が理想とする「エクササイズ面」からのアプローチに、もっと力を入れたいと考えています。そしてトータル的にお身体の状態を見て、調子を整えていくために精一杯お手伝いをしていきたいですね。
過去の経験から大切にしている心構え
まだ完璧にできているわけではないのですが…。私が大切にしている考え方は「目先の利益を追わない」ということです。エステのような仕事って、やろうと思えば目先の利益を優先させて、お客様を上手にのせてお金をいただく、みたいなことも比較的しやすいのではないかなと思っています。
でも、私は先にもお話した通り「自力」で変わりたいという方をアシストしたいですし、そのために大切な考え方をお客様に伝え続けたいです。私が大切にしている考え方をお客様に伝えながら、私自身もお客様も、一緒に育っていけるような関係性を築くことが理想です。
もちろん、その流れの中でビジネスとしても成長させていきたいです。まだまだ実践できていないこともあるので、これからしっかりと結果を出していけるように頑張ります。
起業を考えている方へのメッセージ
私は今、本当に良い方々に恵まれて、素晴らしい人間関係の中で生きることができています。人が抱える悩みって、たいていは人間関係にあるのではないかと思います。世の中には、コミュニケーションを取ろうと思っても、心を通じ合わせることができない相手もたくさんいますよね。
でも、私は自営業になったことで、自分にとって本当に好きな人と仕事ができて、好きなお客様と出会えるようになりました。例えば、私が講師をさせていただいているCremir Cherie Japanの渡辺絵美社長との出会いも、本当に素敵なものでした。
絵美さんの人に対して親身な姿に共感しますし、私の子どものことまで親身に考えてくださったりもするんです。「こんな方が世の中にいるんだ!」と、素晴らしい人間関係に恵まれた喜びを深く感じられています。
自分が純粋に「嬉しい、好きだな」と思える人たちと働けることを自由に選べる環境にあるのは、自営業の醍醐味だと思いますよ。
まとめ
以前の働き方について「お金や待遇面での安定は得られたけれど、心が満たされていなかった」と振り返る須田さん。苦しい現実を変えるために起業に挑戦したことで、ご自身の生活はもちろん、価値観まで大きく変わったというお話がとても印象的でした。
女性のための起業スクール「LIBERTY」にも、「こうなりたい!」という想いを持ち、目標を達成するためにコツコツと努力を続けているメンバーがたくさんいます。受け身ではなく、自分で意欲的に学び、行動しようとする人をLIBERTYはしっかりとサポートします。
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