論理的思考力(ロジカルシンキング)の鍛え方について徹底解説

ビジネスの場では、物事を論理的に考える力が求められることが多くあります。仕事を円滑に進めるために「もっと論理的思考力を高めたい!」「論理的思考力はどうやったら鍛えられるの?」などと考えている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「論理的思考力(ロジカルシンキング)の鍛え方」について分かりやすく解説していきます。論理的思考力を鍛えるメリットや代表的なフレームワークなども紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

論理的思考力(ロジカルシンキング)とは

論理的思考力(ロジカルシンキング)とは、文字通り、物事を論理的に捉える思考方法のこと。「情報を体系的に整理し、筋道立てて考えることのできる能」とも言い換えられるでしょう。主に左脳を使用する思考プロセスであり、「客観的事実や正確性を重視する」という特徴があります。

根拠と結論を明確にして、矛盾のないように話を展開するスキルは、全てのビジネスパーソンに求められる能力だといえます。他のビジネススキルを発揮するための前提条件能力でもあるため、若手社員のうちから身につけておきたいところです。ロジックを考えるのが苦手な方は、ぜひ早めに論理的思考力を鍛えていきましょう。

論理的思考力を鍛える4つのメリット


この章では、「論理的思考力を鍛えるメリット」について簡単に解説していきます。
具体的には、以下の4点です。

  1. 問題解決能力が向上する
  2. 説得力のあるプレゼンができるようになる
  3. コミュニケーションが上手くなる
  4. 仕事の生産性が向上する

順に見ていきましょう。

問題解決能力が向上する

1つ目のメリットは、「問題解決能力が向上する」ことです。問題解決能力とは、問題や課題を発見してその原因を分析し、適切な解決策を導く能力のこと。

論理的思考力(ロジカルシンキング)が身についていない場合、物事の因果関係を正しく把握できないため、表面化している問題を見つけることはできても、その原因を体系的に整理することができません。

一方で論理的思考力が備わっていれば、考えられる原因を洗い出し、仮説を立て、それぞれの解決策を筋道立てて考えることができるでしょう。

説得力のあるプレゼンができるようになる

2つ目のメリットは、「プレゼンテーションスキルが向上する」ことです。

いくら有益な情報を伝えていても、論理的な説明ができていなければ、プレゼンテーションはなかなか成功しません。一方的に話を進め、自己満足して終わってしまうようなケースも珍しくないでしょう。

しかし、ロジカルシンキングができる人は、「情報を整理して分かりやすくまとめる力」「論理的に説明する力」が備わっているため、「相手に伝えるべき情報」を正しく伝えることが可能です。また、適切な順序で、筋道立てて話を展開していけるので、プレゼン内容の説得力も高められます。

結論と根拠をはっきりさせ、「自分の提案が相手のどのような課題をどのように解決するのか」を論理的に説明できれば、相手にも納得してもらいやすいですし、周囲の人からも高い評価を得られるでしょう。

コミュニケーションがうまくなる

3つ目のメリットは、「コミュニケーションがうまくなる」ことです。

論理的思考力を鍛えておくと、「自分の意見を分かりやすく伝える力」が身についていきます。また、「論理的な整合性に注意しながら相手の話を聞く力」も備わっていくでしょう。

つまり、論理的思考力を磨くことで、コミュニケーションの基礎である「伝える力」と「聞く力」の両方を高められるわけです。ゆえに、相手との認識のズレが生じにくくなり、質の高いコミュニケーションが可能となるでしょう。

仕事の生産性が向上する

4つ目のメリットは、「仕事の生産性がアップする」ことです。

上述の通り、論理的思考力を鍛えると、問題解決能力も向上していきます。想定外のトラブルに直面しても冷静に受け止め、スピーディーに原因分析を行い、正しい手順で解決へと導けるわけです。常に「どのように仕事を組み立てるべきか」を判断できるため、結果的に、業務効率化・生産性の向上につながっていくでしょう。

また、必要な情報を効率的かつ正確に伝えられるようになるので、上述したように、コミュニケーションの質も向上していきます。結果として意思決定にかかる時間が短縮され、チーム全体の生産性もアップするでしょう。

論理的思考力(ロジカルシンキング)の鍛え方

それでは、「論理的思考力(ロジカルシンキング)の鍛え方」について解説していきます。

【論理的思考力を鍛える方法8選】

  1. 言語化の癖をつける
  2. クリティカルシンキングを習慣にする
  3. 常に結論から話す
  4. 演繹法や帰納法を学ぶ
  5. ファクトベース思考を意識する
  6. ゼロベース思考を意識する
  7. 普段から曖昧な表現を避ける
  8. エレベーターピッチの練習をする

ぜひ参考にしてください。

言語化の癖をつける

まずおすすめしたいのは、「言語化の癖をつける」ことです。

頭の中にある考えや思考を、具体的な言葉に変換してアウトプットしてみてください。友人に直接話してもよいですし、紙に書き出してみるのもよいでしょう。SNSで発信していくのも効果的かもしれません。

頭の中のアイディアや意見を言語化することで、自分の思考を客観視できますし、「論理的に要約する力」「分かりやすい言葉でシンプルに話を展開する力」が身についていきます。

クリティカルシンキングを習慣にする

クリティカルシンキングを習慣にする」のもおすすめです。

クリティカルシンキングとは、物事を批判的に捉える思考方法のこと。ここで言う批判とは、「悪い部分を非難する」という意味ではなく、「本当にこれで正しいのかどうか疑問を持つ」という意味合いに近いです。

「自分の思考に偏りはないか」「思い込みがないか」を意識して、さまざまな角度からクリティカルシンキングを行ってみてください。「常に物事の本質を捉えようとする癖」「常に前提条件を疑う癖」が身につき、自然と「より正しい論理展開へ修正する力」が磨かれていくでしょう。

常に結論から話す

ビジネスシーンでよく言われることですが、常に「結論から話す」ことも大切です。

基本的に、論理的思考(ロジカルシンキング)は、「結論→根拠→その根拠→その根拠」という流れで進めていくものです。結論ファーストを心掛けることで、「最も伝えたい主張が何なのか」分かりやすくなりますし、話の説得力も格段に向上します。

「結論から言うと……」「結論から申し上げますと……」
慣れないうちは、ぜひ、上記のような決まり文句を意識的に使ってみてください。

演繹法や帰納法を学ぶ

皆さんは、演繹法・帰納法をご存知でしょうか。

演繹法とは、既に存在するルールや前提に当てはめて、階段を登っていくように論理を積み重ね、最終的な結論を導き出す手法のこと。「大前提→小前提→結論」という流れで論理展開を行います。

一方で、帰納法とは、複数の経験的事実から共通点を抽出し、結論を導き出す手法のこと。

両者とも、論理的思考を行ううえで非常に大切な考え方ですので、ぜひ覚えておきましょう。

ファクトベース思考を意識する

ファクトベース思考とは、文字通り、客観的事実を元にして考えること。実際に発生した事象や数値化されたデータだけを集め、信憑性の高い結論を導き出します。

時間と手間がかかりますが、「事実」と「単なる憶測」を明確に区別するのは、ロジカルシンキングにおいて欠かせないことだと言えるでしょう。

ゼロベース思考を意識する

ゼロベース思考とは、これまでの経験や知識を一旦白紙に戻し、まっさらな状態で物事を考えること。つまりは、「自分の中にある先入観を捨て、思考の枠組みを取り払った状態で自由に考えること」を意味します。

常識・先入観・固定観念などは、正しい論理的思考を妨げる大きな要因となります。ぜひゼロベース思考を身につけ、余計な情報に左右されずに、フラットな状態で物事の本質を見極める訓練をしてみてください。

普段から曖昧な表現を避ける

ついつい無意識のうちに曖昧な表現を多用している方も多いのではないでしょうか。

曖昧な表現は、受け取る側の解釈によって、意味が変化してしまう危険性があります。例えば、「多い・少ない」「高い・低い」「早い・遅い」といった表現です。これらの表現は人によって解釈が異なるので、客観性に欠け、できればロジカルシンキングでは避けたい言葉だと言えるでしょう。

日頃から曖昧な表現は控えて、数字や固有名詞を使いながら、言葉に具体性を持たせることを意識してみてください。

エレベーターピッチの練習をする

エレベーターピッチの練習をするのもおすすめです。エレベーターピッチとは、15秒~30秒程度の短い時間で、簡単なプレゼンテーションを行うこと。

このエレベーターピッチを成功させるためには、「結論から話すこと」「簡潔に話すこと」「シンプルな論理展開を行うこと」を徹底しなければなりません。そのため、「自分の考えを短時間で効果的にまとめる能力」が大幅に向上していきます。

論理的思考(ロジカルシンキング)に少し慣れてきたら、ぜひチャレンジしてみましょう。

論理的思考の代表的なフレームワーク5選


この章では、「論理的思考の代表的なフレームワーク」を紹介していきます。
具体的には、以下の5つです。

  1. ロジックツリー
  2. ピラミッドストラクチャー
  3. MECE
  4. 空・雨・傘
  5. So What? / Why So?

ロジックツリー

ロジックツリーとは、ある事柄を、ロジック(論理)に沿ってツリー状に展開していくフレームワークのこと。課題や問題点を定義して、その原因や解決策などを体系的に整理していきます。

情報を視覚的に整理するため、「全体像を把握しやすい」というメリットがあります。情報の抜け漏れも防ぎやすくなり、正しい論理展開が可能となるでしょう。

ピラミッドストラクチャー

ピラミッドストラクチャーは、「結論と根拠の構造」を作成するためのフレームワークです。「最も重要な結論・主張」をピラミッドの頂点に設定し、その下に「根拠や理由」を配置していきます。

ピラミッドストラクチャーを作れば、「結論に至るまでの論理的プロセス」を分かりやすくまとめることができるでしょう。

ロジックツリーは、問題の原因や解決策を導き出す際に使われますが、ピラミッドストラクチャーの場合は、主に、根拠を並べて結論の正しさを証明したいときに活用されます。

MECE

MECEとは、以下の英単語の頭文字をまとめた言葉で、「ロジカルシンキングのベースとなる考え方」を表しています。

  • Mutually(お互いに)
  • Exclusive(重複せず)
  • Collectively(全体に)
  • Exhaustive(漏れがない)

自分では正しい論理展開を行ったと思っていても、「漏れ」や「ダブり」が生じていれば、的外れな解決策になっていたり、非効率的になっていたりする可能性が高いです。

ゆえに、ロジカルシンキングを行う際は、必ずMECEを意識するようにしてください。

空・雨・傘

空・雨・傘」は、論理的思考における超基礎的なフレームワークです。

  • 空:事実の確認(空を見たら曇っている)
  • 雨:事実をもとにした解釈(雨が降りそう)
  • 傘:解釈をもとにした結論(傘を持っていくべきだ)

上記のような3段階の思考ステップで物事を考えていきます。

一見複雑そうな事象でも、「事実→解釈→結論」という順番を守ることで、しっかりと論理的なストーリーを組み立てられるわけです。

So What? / Why So?

So What? / Why So?」も、ロジカルシンキングの基礎的な技術です。

起こっている事象に対して、
「So What?(だから何?つまり?)」
「Why So?(それはなぜ?)」
と問いかけて、結論と根拠を深掘りしていくようなイメージです。

これを習慣化することで、物事の因果関係を確認する癖がつき、論理的思考力や批判的思考力の向上が期待できるでしょう。

論理的思考における注意点


最後に、「論理的思考(ロジカルシンキング)における注意点」を紹介します。

  1. 前提情報が間違っていると正しい結論は出ない
  2. クリエイティブな作業には向いていない
  3. ときには感情も大切にする

ぜひ頭に入れておきましょう。

前提情報が間違っていると正しい結論は出ない

ロジカルシンキングでは、与えられた情報を元にして論理を展開していきます。そのため、そもそも与えられた前提情報が間違っていると、正しい結論を導くことができません

論理展開を始める前に、「そもそもこの前提情報は正しいのか」という疑問を持つように心掛けてみてください。

クリエイティブな作業には向いていない

もちろん時と場合によりますが、一般的に論理的思考は、クリエイティブな作業には向いていません。与えられた情報を深掘りしていく思考方法ですので、発想力や想像力はむしろ邪魔なものになり得るわけです。

全く違う新しいものを生み出したい場合は、論理的思考とは逆の概念である拡散思考」「水平思考を意識してみると良いでしょう。

ときには感情も大切にする

論理的思考を極めるのは素晴らしいことですが、論理だけでコミュニケーションを行うのはあまりおすすめできません。

相手の気持ちを考えずに、正論だけを押し付けていれば、当然人間関係は悪化していくでしょう。そのため、ロジカルシンキングを磨きつつ、ときには感情や直感も大切にするようにしてください

まとめ


「論理的思考力(ロジカルシンキング)の鍛え方」をまとめると、以下の通りです。

論理的思考力を鍛える方法8選

  1. 言語化の癖をつける
  2. クリティカルシンキングを習慣にする
  3. 常に結論から話す
  4. 演繹法や帰納法を学ぶ
  5. ファクトベース思考を意識する
  6. ゼロベース思考を意識する
  7. 普段から曖昧な表現を避ける
  8. エレベーターピッチの練習をする

ロジカルシンキングは、全てのビジネスパーソンに求められる能力です。ぜひ当記事を参考にしながら、自分に適した方法で、論理的思考力を鍛えていってください。

 

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