まだまだ営業は男の仕事というイメージが根強いですが、女性の社会進出が推進された影響もあり昨今では女性営業職も珍しくなくなってきました。
営業は男性社会というイメージに不安を感じて尻込みする女性も多いですが、同じような不安を乗り越えて営業職として働いている女性の方々は、それぞれが持つ強みと共に女性特有の持ち味を生かして活躍されています。
そんな女性営業職について、営業を経験するメリットや営業に向いている人の特徴について解説していきます。
目次
営業職の特徴と営業職を経験するメリット
仕事を探している時に、営業職を敬遠したことがある方は多いのではないでしょうか?
経験のない方だとなおさら「ノルマが厳しいのでは…」「お客様相手に交渉なんて難しいのでは…」などマイナスなイメージが先行してしまって避けがちな職種であると言えるでしょう。
しかし、営業職には経験した人にしかわからないメリットがたくさんあります。
メリットを知ると営業職に対するイメージが変わるかもしれません。
自営業になったときに痛感する「売上をたてる力」をもっている
いつか起業したい、独立して自由に働いてみたい、という夢を漠然とでも描いているのならば今から認識しておくべき事実があります。
それは、独立するのであれば、自分の力で「売上をたてる力」を持っていることが必須だということです。すなわち、営業力が必要になります。
自営業として自由にイキイキと働く姿は、時にSNS上でキラキラと輝いて何の不自由もなく裕福に暮らしているように見えることがあります。
これは、SNSが普及した弊害とも言えるでしょう。
SNSでは自営業の仕事の中で、一番「キレイに」見える部分を切り取って公開しているでしょうし、水面下で必死にもがいて働いている姿は意図的に隠されていることがほとんどです。
自営業者は、SNSで公開されているように優雅に仕事をしているだけではありません。
人に見えないところでは、がむしゃらに営業活動を行っている側面があります。
どんな仕事も、売れなければ収益にはなりませんし、待っているだけではお客様は増えていきません。
独立したいのであれば、営業力すなわち「売上をたてる力」を独立する前に身に着けておくのは必須です。
他責思考ではなく自責思考で動く力が身につく
自責思考とは、問題が起こった時に「その原因は自分に責任がある」と考える思考のことです。
自責思考で考えられる方であれば、実際に問題が起こった時に「この問題は自分自身に問題や落ち度があった」と考え、その問題が起こるに至った原因を分析し、再度同じ問題を起こさないために自分自身を含めてどうすべきか対策を考える傾向にあります。
一方で他責思考とは、同じように問題が起こった時に「自分以外に責任がある」と考える思考のことです。
他責思考で考えている方の場合は「自分の責任ではない」と考えてしまい、問題は解決したとしても、その時に起こった問題の対応に当たるだけで、その問題の原因分析からその後の対策まで考えが及びません。対応に当たってもその場限りであり、その経験を将来に生かそうと考えないのです。
そのため、自責思考で考えられる方は、自身を顧みて次に繋げるので、他責思考の方に比べて成長が早く、成果を上げている女性営業マンも自責思考であることが多いです。
営業職は、自分が起こしたミスではなかったとしても、主体となって問題に対処し、誠意を持って謝罪をしなければならない場面も多々あるかと思います。
その場合に、自分には非がないからといって、誰かが解決してくれるのを待っている、また表面上の謝罪では、クライアントにも誠意が伝わらず、信頼が得られないことはおろか、最悪の場合、契約が打ち切りになる可能性もあります。
もちろん、全くの非がない場合もあり、必ずしも自責思考で考えることが正しいとは限りません。
ですが、何か問題が発生した際に、「改善できる点はなかったか」「今後同じようなことが起きないためにどうしたらいいのか」などと振り返って考えることはとても大切です。
自責思考で考える癖をつけて、実際に自責思考で考えながら問題の対応に当たる経験を積んでおくことは将来の財産になるでしょう。
女性営業職ならではの強み
営業職は男の職場だというイメージを持っている方も多いでしょう。
もちろん男性比率の多い職種ではありますが、現在は女性営業職が欲しいと考えている企業は数多く存在し、既にたくさんの女性が営業職として働いています。
なぜ男性社会というイメージが強い職種にも関わらず、女性営業職が求められているのでしょうか?
相手に話を聞いてもらいやすく相談しやすい
誤解されがちですが、営業職にとって営業トークが上手いことはそれほど重要ではありません。
重要なのは、顧客の悩みやニーズを細かく聞き出し、親身に相談に乗り、信頼関係を作ることです。お互い信頼しあってお互いの利益を考えられる商談になれば、商談は比較的スムーズに進んでいきます。
しかし、商談相手が互いに男性同士だと無意識にライバル意識を抱いたり、警戒心を持ってしまったりするので、円滑なコミュニケーションが取れるようになるまでに時間がかかります。
そこで男性よりも柔らかい印象を持つ女性営業職が顧客の話の聞き役として活躍することで、男性営業職よりも早い段階で心理的距離を縮めて「本音を話しやすい」「相談しやすい」という印象を持ってもらうことができます。
そのメリットを理解して、営業時は男女ペアで同行するように推奨している会社もあります。
気遣いができて気配りが上手
気遣いや気配りができるということは、営業職に限らずに重宝される能力です。
常に周りに注意する観察力や、自分のことでだけでなく他の人に対しても常に意識を向ける視野の広さを持っているからです。
商談時に緊張してしまい自分のことで精一杯になってしまう営業マンは、視野が狭くなりがちで顧客の反応を確認する余裕もなく、一方的な営業トークになりがちです。
しかし気遣いや心配りが得意なタイプの営業マンは、他の営業マンが気付いていない顧客の反応に気づいて会話を盛り上げることができますし、商談中にも適宜顧客に声をかけることで相手の反応の変化を見ながら交渉を進めていくことができます。
個人差はありますが、女性は男性より相手をよく見ている傾向があり、その分細やかな気遣いや相手に寄り添う心配りが上手だと言われています。
相手に覚えてもらいやすい
営業というのは競合他社とのせめぎ合いの中で勝利しなければ結果に結びつきません。
交渉がうまくいくことはもちろん大前提ですが、少しでも競合他社より相手先に印象を残すことが必要になってきます。
女性営業職は昔に比べて珍しくなくなったとはいえ、業種によっては男性に比べるとまだまだ少ないですから、女性が営業職として働いているというだけで覚えてもらいやすいです。
そしてさらに相手の印象に残るために大事なのは「相手を感動させる」ことです。
感動とはいっても、涙を流すような大きな感動ではなく、相手の心が少し揺れ動く程度でよいのです。
心が揺れ動いた時、相手にはその感覚が体に残ります。その小さな感動が多いだけ、相手はあなたに興味を持つでしょう。
まず「相手のことを尊重したい」という意思表示が大切です。
「自分に興味を持ってくれている、尊重してくれている」と相手が感じることができれば、それだけで心は揺れ動きます。
その点、女性は気遣いや心配りで相手を大切にするアクションを取ることに長けていますので、そのアクションによって、相手の心を揺らし、覚えてもらうことにダイレクトに繋がります。
コミュニケーション能力が高い
顧客の警戒心を早い段階で解き、円滑なコミュニケーションが取れるようになれば、より細かい相手のニーズや悩みを聞き出すことができます。
女性は、相手が発する非言語情報を感じ取るのが上手いので、相手の振る舞いや挙動、目線から、その人の精神状態や性格を感じ取って対応することができます。
話し始めるよりも前に相手の発する非言語情報を収集し、それに合わせた対応ができるのは大きなアドバンテージになります。
逆に男性は、女性に比べて言語情報に重きを置いており、話の内容からコミュニケーションを取る傾向にありますが、男性であるがゆえに肝心の会話に入る前に警戒心を持たれてしまったりするので、円滑にコミュニケーションが取れるようになるまでに女性より時間がかかりやすいです。
営業に向いている人の特徴
ここまでは、女性が営業職として勤める上での女性のアドバンテージについて説明してきました。
逆に「女っぽくないから、私営業職向いてない…」と感じてしまった女性もいるかもしれません。
しかし、女性だということだけが女性が営業職として働く強みであるということは決してありません。
多くの女性営業職の方々は、人それぞれ自分が持つ個性を生かして日々の営業活動に向き合っています。
まず、自分の性格を言語化して分析し、個性の中に営業職として武器になるものがあるか精査してみましょう。
自分の性格の中に営業職として戦える個性があると自覚するだけでも自信を得ることができ、その自信は顧客とのコミュニケーションを円滑に進めることに繋がり、営業の場でプラスの影響をもたらすでしょう。
以下、営業職として向いている人の性格を挙げていますので確認してみてください。
明るくて話し上手な人
明るくて話し上手な人は、営業の場に限らず、様々な人から好まれます。
話し上手な人は元々持っている話のネタが豊富なため、会話をする際は自分が話したい話をするのではなく、話し相手が話しやすいだろう話題を選んで積極的に振って、話し相手に「話しやすい」と感じさせるようにします。
初対面の商談では特に、このタイプの人が一人いるだけでコミュニケーションが円滑に進みますし、何を話せばいいのかわからなくて気まずいというようなことが起こりづらいので重宝されます。
負けず嫌いな人
営業マンは、負けず嫌いであることもアドバンテージになります。
もちろん、顧客に押し売りしろという意味ではありません。しかし営業マンは売ってナンボです。結果を出さなければ、評価をされることもありません。
時には同じ業界の「他社」がライバルになることもありますし、同じ部署で売上成績を競う「同僚」がライバルになることもあります。そのライバルとの戦いを制してこそ、評価される世界です。
そのような環境の中で、ライバルよりも結果を出したい!負けたくない!と思える人は、そのために日々努力することにストレスを感じることはないでしょう。
ライバルに勝ちたいという気持ちは仕事への原動力となり、背中を押してくれるのです。
身体的・精神的にタフな人
営業職は他の職種よりも他者から拒絶されたり、クレームを受けることが多い職種です。
自分が起こしたミスではなかったとしても、客先に真っ先に伺って謝罪をするのも営業職です。
業界によっては、顧客から何時でも電話がきたり、呼び出されたりと振り回されてしまうこともあります。そのため、業界によっては身体的、精神的にタフであることが求められます。
身体的な面に関しては、きちんと体調管理ができることが大事です。頻繁に体調不良で客先に出向けないようでは、顧客との信頼関係を築くのは難しくなりますし、急な外出が重なったりするような業種の場合は体力がないとそもそも仕事が務まらない場合もあります。
精神面に関しては、常にポジティブ思考でいられることが大事です。
物事を多角的に見ることができれば、もし顧客からクレームを受けたとしても「この経験は、起業した時に同じようなミスが起こったら使えるぞ!」というように考えることができ、落ち込まずに前向きに取り組んでいくことができます。
定量的に評価されたい人
オフィス職と違い、営業職は定量的に評価されやすいという側面があります。
成約数として営業結果が数字で表されるため、それに対して定量的に評価を与えるよう会社が配慮するからです。
会社が売上を上げるためには、その先陣となる営業職の力が一番重要だというのは理解できると思います。会社が掲げる営業の評価基準がハッキリとしていれば、その数値を目標にすることでやる気を出すことができます。
逆にオフィス職は、数字で個人の実績を定量化するのが難しいため、評価は上長の裁量に任されたりします。
そのため、なかなかハッキリした形で社員自身が成長を感じることが難しいかもしれません。
自分の実績をきちんと数字で表して評価されたい!自分の成長を数字で確認したい!と考える人に営業職はピッタリでしょう。
向上心が高く、地道にコツコツ頑張れる人
営業は毎回交渉がうまくいくわけではありません。どんなに努力したとしても、何度交渉を重ねたとしても、契約に繋がらずに残念な結果になるという事は多々起きます。
それでも日々小さな積み重ねがいつか大きな結果に至るだろうと考えて、努力を続けていけることはとても大事な能力です。
一度お断りされていたとしても定期的にご挨拶に伺って現状のヒアリングをしたり、既存顧客のケアのために外回りを欠かさなかったり、新規顧客の獲得のためにアポ取りに励んだり、時には飛び込み営業をする場合もあるでしょう。
すぐに数字に繋がらないとしても、そのような小さな積み重ねが未来の契約を増やしていきます。
つまり、契約までは時間がかかると自覚してコツコツ頑張れる人は強いのです。
すべてに当てはまっていなくても大丈夫!自身の強みを伸ばしていきましょう
営業職として働く上で、決してすべての特徴に当てはまっていることが重要なのではありません。
大事なのは自分の性格の特徴を改めて見直し、向き合い、それが強みであると自覚することによって自信に繋げていくことです。
初めて営業に挑戦する人であればなおさら、何かしら自分の中に戦える武器がある、決してゼロからの出発ではないと思えることは自分の中に強さを与えてくれます。
そして、気づいた自分の強みは営業の場を数多く経験することでどんどん磨かれていきます。
強みは持っているだけ、知っているだけでは磨かれることはなく、様々な営業先との折衝の中で成功したり失敗したりすることで、その使い方や生かし方を身に着けていくことができます。
もちろん性格を見直した結果、営業に向いている人の特徴に当てはまっていないどころか逆の性格だったという人もいるでしょう。
それでも将来は独立したいという夢を持っているのならば、営業の向き不向きに関係なく将来起こるだろうトラブルに備えて営業経験を積むことは大切です。
強みとなる特徴を持っているにせよ持っていないにせよ、まずは自分の性格を自覚することから始まります。
最初の営業に出向く前に自分の性格と向き合い、自分なりの戦い方を考えて心構えができることさえも強みになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?営業職として働くことを今まで敬遠していた人も、自営業として独立するためには営業職としての経験が必要だと認識を改めることになった女性も多いかもしれません。
営業職として働いてみれば実感することですが、中にはすんなりうまくいく商談もあれば、あと一歩というところで交渉決裂になってしまう事もあります。
決して楽な仕事ではないですが、苦労が多いからこそ得られる能力や成功体験、失敗経験は、起業してからのキャリアにおいて重宝されることに間違いありません。
結果に一喜一憂しながらも、その結果に至るまでの努力の過程を楽しみ、それが将来へ繋がっていくのだと自覚して取り組むことが大事です。
それは営業に向いている人であろうと、向いていない人であろうと変わりません。
誰もが成功と挫折を経験しながら成長していくことを忘れずに、営業力の習得に向けて前進していきましょう。