「営業活動に心理学を取り入れたい!」
「具体的な心理学テクニックを学びたい!」
このように考えている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「営業で使える心理学テクニック」を7つ紹介していきます。また、営業活動に心理学を取り入れるメリット、心理学テクニックを身につける方法なども紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
営業には心理学がなぜ必要?取り入れるメリットとは?
そもそも営業活動にはなぜ心理学が必要なのでしょうか。
まずこの章では、「営業に心理学を取り入れるメリット」について簡単に解説していきます。
具体的には、以下の3点です。
- 信頼を得ることができる可能性がある
- 説得力が向上する
- 成約率が上がる
順に見ていきましょう。
信頼を得られる可能性が上がる
1つ目のメリットは、「信頼を得られる可能性が上がる」ということです。
当然ですが、顧客との信頼関係は、営業活動において不可欠な要素です。いかに商品やサービスが魅力的であっても、信頼できる営業パーソンでなければ、なかなか購入にはつながりません。
優秀なトップセールスマンは、心理学を上手く活用し、顧客の心理状態を把握しながら、相手に合わせて適切なアプローチを行っています。「良好な人間関係を築くための心理学テクニック」を身につけているため、顧客から信用・信頼されやすく、相手に安心感も与えやすいです。
「コミュニケーション能力に自信がない」という方は、ぜひ心理学を学び、営業に取り入れてみてください。信頼関係を構築するのが上手くなれば、顧客と長期的に付き合っていくことが容易になり、営業成績も上がっていくでしょう。
説得力が向上する
2つ目のメリットは、「説得力が向上する」ことです。
ただやみくもに商品の説明を行っても、顧客の心を動かすことはできません。最終的に商品を購入してもらうためには、「納得感のある説明」が必要不可欠でしょう。
だからこそ、営業活動では、「説得力を高めるためのテクニック」「効果的な提案を行うためのテクニック」が非常に大切になってきます。
例えば、以下のようなテクニックが有名でしょう。
- 「情報を伝える順番」を操作する
- メリットだけでなく、あえてデメリットも伝える
- 実績や評価を加える(権威付け)
他にも様々なテクニックを後述していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
成約率が上がる
3つ目のメリットは、「成約率が上がる」ことです。
心理学の知識・テクニックを駆使すれば、顧客の購買意欲が高まっているタイミングを見極めやすくなります。適切なタイミングで適切なアプローチを行えるので、顧客を取り逃がすことなく、しっかりとクロージングまで完了させることが可能です。
「顧客とコミュニケーションを取るのは得意だけれど、いつも仲良くなるだけで終わってしまい、商品の購入には至らない」という悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。そのような方は、ぜひ「成約につなげるための心理学テクニック」を身につけ、成約率をグンと高めていきましょう。
今すぐ使える!心理学テクニック7選!
それでは、「今すぐ使える心理学テクニック」を7つ紹介していきます。
具体的には、以下の通りです。
【関係を円滑にするためのテクニック】
- ミラーリング効果
- メラビアンの法則
- 単純接触効果
- バックトラッキング
【提案を伝えるための心理学テクニック】
- フレーミング効果
- マジカルナンバー
【成約に繋げるための心理学テクニック】
- キャリブレーション
順に解説していくので、ぜひ頭に入れておきましょう。
関係を円滑にするためのテクニック
ミラーリング効果
ミラーリング効果とは、「自分と同じような仕草・行動をする人に対して好感を抱いてしまう」という心理効果のこと。「同調効果」と言われることも少なくありません。
そもそも人間は、興味を持っている相手の行動や表情を、無意識のうちに真似てしまいます。鏡に映すように真似をするため、これを「ミラーリング」と言い、ミラーリングを行う相手に対しては、自然と仲間意識を感じたり好意を抱いたりする傾向があるのです。
つまり、自分の真似をしてくる人に対しては、無意識下で親近感や安心感を抱いてしまうわけです。この性質を上手く利用すれば、意図的に、良好な人間関係を築くことができるでしょう。
例えば、「相手が資料を手に取ったら自分も資料を手に取る」「相手が水を飲んだら自分も同じように水を飲む」といったイメージです。さりげなく同じ行動をして、相手に親近感を感じさせましょう。
ただし、何度も何度も真似を繰り返していると、相手に気付かれて、不快に思われる可能性がありますので、十分に注意してください。
メラビアンの法則
メラビアンの法則とは、「人間のコミュニケーションにおいて、視覚情報が55%、聴覚情報が38%、言語情報が7%の影響を与える」という法則のこと。1971年、アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンによって提唱されました。視覚情報(Visual)・聴覚情報(Vocal)・言語情報(Verbal)の頭文字を取って「3Vの法則」、または「7-38-55の法則」と呼ばれることもあります。
コミュニケーションおいて視覚情報・聴覚情報・言語情報に矛盾があった場合、人間は、視覚情報を強く受け取ります。例えば、口では「楽しい」と言っていても、暗い表情や悲しい表情をしていれば、聞き手側は、視覚情報(つまりは表情)を重点的に捉え、「本当は楽しくないのだろうな」と感じてしまうわけです。
メラビアンの法則を営業活動に当てはめると、以下のように分類できるでしょう。
- 視覚情報(55%):見た目、服装、表情
- 聴覚情報(38%):声のトーン、話し方
- 言語情報(7%):会話の内容
もちろん商談内容も大切ですが、営業パーソンがまず意識すべきは、「自分の見た目や服装」であると言えます。ぜひ、清潔感のある髪型・服装を意識し、常に明るい表情でコミュニケーションを行うことを意識してみてください。
単純接触効果
単純接触効果とは、「人間は、接触する回数や目に触れる回数が多いものに対して好感を抱く」という心理的現象のこと。「ザイオンス効果」とも呼ばれます。
営業活動においても、最も頻繁に活用されているテクニックだと言えるでしょう。顧客に対して一度だけアプローチするのではなく、何度も繰り返しコミュニケーションを取ることで、好感度を高めていくような方法です。
例えば、以下のようなイメージです。
- 何度も何度も顧客のもとへ足を運ぶ
- 定期的に、メールや電話で連絡を取り合う
- 月に一回、チラシやパンフレットを送る
- SNSで頻繁にやり取りを行う
特別なことをする必要はありません。単純な接触を繰り返すだけで、相手との距離は縮まっていき、信頼関係の構築につながるのです。
ただし、執拗に営業電話をかけたり、毎日のようにメールを送ったりすると、逆に嫌われてしまいますので、注意してください。
バックトラッキング
バックトラッキングとは、簡単に言うと、「相手が話したことを復唱する」というテクニックです。つまり、日本語で言う「オウム返し」のこと。
基本的に話し手は、聞き手の反応がない場合、自分の発言がしっかりと伝わっているのかどうか不安になるものです。一方で、自分の話に対して意見を言われたり評価されたりすれば、それはそれで嫌な気持ちになるケースもあるでしょう。
そこで活用したいのが、バックトラッキングです。人間は、自分の発した言葉や内容を繰り返されると、相手に理解された気分になって安心感を覚えると言われています。
ゆえに、営業活動において、顧客の言ったことをそのまま繰り返すだけで、「あなたのことを理解していますよ!安心してくださいね!」という無意識下のメッセージを送ることができるのです。
イメージとしては、以下の通りです。
顧客:「新卒採用が上手くいっていなくてね……」
営業担当:「新卒採用が上手くいっていないのですね」
顧客:「学生からの応募が全然なくて、困っちゃうよ……」
営業担当:「学生からの応募がないと、困りますよね」
難しいテクニックではありませんので、ぜひ活用してみてください。
提案を伝えるための心理学テクニック
フレーミング効果
フレーミング効果とは、「同じ内容の情報であっても、伝え方を変えるだけでイメージが大きく変わる」という心理効果です。
例えば、下記の2通りの営業トークを比べてみましょう。
- 「こちらのサービスを利用したお客様のうち、90%が効果を実感しています」
- 「こちらのサービスを利用したお客様のうち、10%は効果を実感できませんでした」
どちらも同じことを言っていますが、顧客に与える印象は大きく変わってくるでしょう。「90%が効果を実感している」と伝えた方が、やはりポジティブなイメージを与えるはずです。
「何を伝えるか」も重要ですが、「どのように伝えるか」「どのように表現するか」も非常に大切です。ぜひ、フレーミングテクニックを身につけ、営業活動に役立ててください。
マジカルナンバー
マジカルナンバーとは、短期記憶の限界の数である「4±1」のことを指します。
人間が短期的に記憶できる数は、3~5だと言われています。例えば、郵便番号をイメージしてください。「123-4567」のように、3桁のブロックと4桁のブロックに分けられています。もしハイフンがなければ、「1234567」となり、少しばかり覚えづらくなるでしょう。
また、電話番号は、「000-1234-5678」のように、3桁・4桁・4桁に分けられていますね。「00012345678」という11桁の数字と捉えた場合は、なかなか記憶するのは難しくなるはずです。
ゆえに、営業活動においては、以下のようなポイントを押さえておくことをおすすめします。
- 提案する商品のバリエーションは、3~5個に絞る
- 「絶対に伝えたいこと」「覚えてほしいこと」も、3~5個に絞る
- 「覚えてもらう必要はないがアピールしたいこと」は、6個以上伝えてもOK
成約に繋げるための心理学テクニック
キャリブレーション
キャリブレーションとは、「言語以外の情報で、相手の心理状態を読み解く」ことです。つまりは、非言語情報(表情・目線・姿勢・呼吸スピード・声のトーン・話すテンポなど)から、相手の心理状態を探るテクニックだと言えるでしょう。
例えば、「今購入した方がお得ですよ!」と伝えた瞬間に、相手の表情が暗くなったり、声のトーンが下がったりしたら、口では「前向きに検討します」と言っていても、実際はクロージング失敗の可能性が高いと判断できます。
キャリブレーションテクニックを身につけていれば、このように、相手の真意や本音に気付きやすくなるでしょう。「じゃあ今回は積極的に売り込むのではなく、相手のペースに合わせることを意識しよう」というように方向転換できれば、顧客との信頼関係も築きやすくなります。
心理学テクニックを身につけるためには?
最後に、「心理学テクニックを身につけるための方法」について簡単に解説いたします。
- トークスクリプトに入れ込む
- ロープレを実施する
- 実務で使う
ぜひ参考にしてください。
トークスクリプトに入れ込む
まずおすすめしたいのは、実際にトークスクリプトを作り、その中に心理学テクニックを入れ込む方法です。
トークスクリプトとは、一言で言えば、「営業トークの台本」のこと。つまり、「顧客に対して話をする際の流れや内容をまとめたマニュアル」です。トークスクリプトを作成し、「心理学テクニックを盛り込んだセリフ」を事前に考えておけば、初心者でもテクニックを発揮しやすいと言えるでしょう。
心理学について学んだとしても、いきなり実務で使いこなすのは難しいです。だからこそ、あらかじめ台本を用意しておくことは非常に有用です。ぜひ、今回紹介した7つのテクニックを、トークスクリプトに入れ込んでみてください。
ロープレを実施する
ロープレを実施するのも効果的でしょう。
知識ばかり詰め込んでも、実際に使いこなせなければ意味がありません。ゆえに、心理学テクニックについて学んだ後は、とにかく練習あるのみです。
先輩社員にお願いして、ロープレを何度も繰り返しましょう。心理学テクニックを上手く使えていたかどうか、しっかりとチェックしてもらってください。また、自分自身を客観視するために、トーク内容を録音したり、ビデオを撮ったりするのもおすすめです。
実務で使う
やはり一番効果的なのは、心理学テクニックを実務で使ってみること。
はじめは緊張するかもしれませんが、練習通りに心理学テクニックを駆使してみてください。「予想外の反応をされた」「ぎこちない会話内容になってしまった」という反省点がどんどん見つかるはずです。「意外に上手くいった」「このテクニックは得意かも」といったポジティブな発見もあるかもしれません。
成功体験と失敗体験を繰り返し、心理学テクニックを本当の意味で自分のものにしていきましょう。
まとめ
「営業で使える心理学テクニック」について分かりやすく解説しました。
まとめると、以下の通りです。
【関係を円滑にするためのテクニック】
- ミラーリング効果
- メラビアンの法則
- 単純接触効果
- バックトラッキング
【提案を伝えるための心理学テクニック】
- フレーミング効果
- マジカルナンバー
【成約に繋げるための心理学テクニック】
- キャリプレーション
ぜひ当記事を参考にしながら、心理学テクニックについて学び、営業活動に活かしていきましょう。