「SaaS営業に興味はあるけれど、よく理解できていない」
「SaaS営業のメリット・デメリットが知りたい」
このようなママさんも多いのではないでしょうか。
今回は、「SaaS営業の基礎知識」について徹底解説していきます。SaaS営業の仕事内容や必要なスキルはもちろん、メリットやデメリットにも触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
SaaS業界とは?
SaaSについて詳しく理解している人は多くないでしょう。
そこでまずは、そもそもSaaSとは何なのか、簡単に解説していきます。
SaaSとは
SaaSとは「Software as a Service」の略称であり、一言で言うと、「インターネットを通じて使用するクラウド型のソフトウェアやアプリケーション」を意味します。従来のようなパッケージ型サービスではないため、ソフトウェアをインストールしたり、自社で管理したりする必要はありません。
基本的には、サービスの利用期間に応じて料金を支払うサブスクリプション型のモデルが採用されています。代表的なサービスとしては、Zoom・Slack・Dropbox・Kintoneなどが挙げられるでしょう。
このようなサービスを扱っている業界を、SaaS業界と言います。
なぜSaaS業界が注目されているのか
日本におけるSaaS業界は急成長を遂げており、2024年度には、1兆1,200億円の市場規模にまで達すると言われています。
SaaS業界が注目を集めている背景としては、リモートワークの普及・働き方の多様化などが挙げられるでしょう。
SaaSは、インターネット環境さえあれば、いつでもどこでもアクセスできるという特徴があります。また、データをオンラインストレージ上に保存できる、複数人でデータを編集できるといったメリットもあります。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、リモートワーク・テレワークを実施する企業が増えると同時に、SaaS製品を導入する企業も増加していったのです。
SaaS営業とは?
SaaS営業とは、文字通り、SaaS業界における営業活動のこと。
この章では、「SaaS営業の基本的な特徴」について解説します。
SaaS営業とは
上述の通り、SaaS営業とは、「SaaS業界における営業活動」を意味します。つまりは、ZoomやSlackといったSaaS商品を、顧客に対して販売していく仕事です。
SaaS業界におけるほとんどの企業は、「The Model」という営業プロセスモデルを採用しています。これは、営業プロセスを以下の4つに分け、それぞれの分野にスペシャリストを配置することで、営業活動を最適化していく仕組みです。
- インサイドセールス
- フィールドセールス
- カスタマーサクセス
- マーケティング
詳しくは第3章で解説するので、ぜひ参考にしてください。
一般的な営業との違い
一般的な営業活動では、顧客開拓からアポ取り・商談、さらにはアフターフォローまでを一人の担当者が行います。一方、SaaS営業の場合、インサイドセールスやフィールドセールスなど、担当分野が明確に分けられています。
また、一般的な営業は「売り切り型」であるケースが大半であり、提案力やクロージングテクニックが重視されがちです。
しかし、SaaS営業の場合は、サブスクリプション型の商品であるため、「契約後も顧客満足度を維持できるかどうか」が大切です。丁寧なヒアリングを行い、顧客と継続的な信頼関係を築いていくことが何よりも重要だと言えるでしょう。
SaaS営業の仕事内容とは?
上述のように、SaaS業界における多くの企業は、営業プロセスを以下の4つに大別しています。
- インサイドセールス
- フィールドセールス
- カスタマーサクセス
- マーケティング
それぞれの仕事内容を解説するので、ぜひ頭に入れておきましょう。
インサイドセールス
インサイドセールスは、マーケティング部門から引き継いだリード(見込み顧客)に対して、電話やメールでアプローチをかけていく仕事です。丁寧なヒアリングを行い、見込み顧客の課題やニーズを引き出しながら、自社商品に興味を持ってもらうことを目的とします。
なお、インサイドセールスは、実際に商品を販売することはありません。つまり、商談やクロージングまでは担当しません。顧客との信頼関係を築き、見込み度合いの向上を図るのが主な役割です。そして、見込み度合いの高い顧客を抽出したうえで、フィールドセールスに引き継ぎます。
フィールドセールス
フィールドセールスは、インサイドセールスから引き継いだ見込み顧客と商談を行い、クロージングを目指す仕事です。
「インサイドセールスから顧客情報(ニーズや課題)を引き継いでいる」「アポ取りやアフターフォローは担当せずに、提案だけに集中できる」といったメリットがあるため、一般的な営業と比べて、成約率は高くなりやすいでしょう。
インサイドセールスは、主に電話やメールなど非対面のコミュニケーションを行いますが、一方でフィールドセールスの場合は、実際に客先を訪問し、顧客の目を見ながら商談を進めるケースが多いです。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセスは、自社商品を購入してくれた顧客に対して、フォローアップを行っていく仕事です。
顧客の利用満足度を高め、長期的にサービスを利用してもらうことを最大の目的としています。現状のサービスに不満はないか、どのような課題が出てきたか、改善要望などはあるかをヒアリングし、開発部門やマーケティング部門へフィードバックを行うこともあるでしょう。
SaaS商品は「サブスクリプション型のモデル」であるため、利益を最大化するためには何よりも解約されないことが大切です。ゆえに、カスタマーサクセスは、SaaS事業において非常に重要な役割を担っていると言えます。
マーケティング
マーケティングは、一言で言うと、潜在顧客の発掘を行う仕事です。以下のような手段を用いて、見込み顧客を獲得・育成し、インサイドセールスへと引き継ぎます。
- 自社のホームページ
- 自社が運営するWebメディア
- Web広告
- メールマガジン
- セミナー
- SNS(InstagramやTwitterなど)
より多くの人に自社商品をアピールし、興味を持ってもらうため、様々なマーケティング戦略を立案し実行していきます。
SaaS営業に必要なスキルとは?
この章では、「SaaS営業に必要なスキル」を紹介します。具体的には、以下の5つです。
- プロダクトの知識
- コミュニケーションスキル
- 論理的思考力
- プレゼンテーションスキル
- プロジェクトマネジメントスキル
順に見ていきましょう。
商品知識
まずは、当たり前ですが、「自社商品に関する知識」が必須です。自社商品の機能や使い方を完全に把握し、競合商品との違いを説明できなければ、営業活動はなかなか上手くいきません。
自社のSaaS商品にどのような特徴があり、顧客に対してどのような価値を提供できるのか、しっかりと訴求できるようにしておきましょう。また、メリットだけでなく、欠点やマイナス面も理解しておくようにしてください。
コミュニケーションスキル
SaaS営業を上手く進めるうえで、「コミュニケーションスキル」も欠かせません。
上述の通り、SaaS営業では、顧客と継続的な信頼関係を築いていくことが何よりも重要になってきます。そのためには、顧客が本当に求めているものを丁寧にヒアリングし、円滑なコミュニケーションを取っていく必要があるでしょう。
相手が心を開いてくれていなければ、潜在的な悩みやニーズを引き出すことはできません。一方的に話を進めるのではなく、相手の目線に立ってコミュニケーションを取ることを心掛けてください。
論理的思考力
「論理的思考力(ロジカルシンキング)」も非常に大切です。やみくもにアプローチを続けても、なかなか営業成績は伸びません。
最終的な目標から逆算して、どうすればその目標を達成できるのか、論理的に考えてみてください。例えば、以下のようなイメージです。
- 今月の売上○○円を達成したい
→そのためには受注数か受注単価を上げなければならない
→単価は変えられないから、受注数を上げる必要がある
→受注数を上げるには、商談数か商談成功率を上げなければならない
→自分は商談成功率は高いから、商談数を上げよう
→商談数を上げるために、○○や○○を試してみよう
→効果が出なければ、△△を試してみよう
また、論理的思考力が備わっていれば、説得力のある話し方ができるようになります。営業パーソンに限らず、ビジネスにおいて必須とも言えるスキルなので、ぜひ身につけておきましょう。
プレゼンテーションスキル
プレゼンテーションスキルも大切でしょう。SaaSのほとんどは、法人向け(BtoB)です。自社商品を採用してもらうためには、相手企業の担当者に必要性を感じてもらわなければなりません。
こちら側が伝えたい内容を一方的に説明するのではなく、相手が本当に知りたいことを分かりやすく伝え、購買へと促すことが求められます。プレゼンスキルを高めたい人は、以下のポイントを意識してみてください。
- プレゼンの目的や結論をはっきりさせる
- シンプルなスライドを作る
- フレームワークを学ぶ
- 模擬プレゼンを何度も行う
- 自分の話している姿を録画する
プロジェクトマネジメントスキル
最後に「プロジェクトマネジメントスキル」です。
SaaS営業では、多くの人・組織を巻き込みながらプロジェクトを進めていくケースが多いです。営業チームの仲間だけでなく、社内のエンジニアや取引先の担当者など、様々な人とコミュニケーションを取りながら、円滑にビジネスを進めていく必要があります。
特にマネージャーやリーダーを任されている場合は、プロジェクトマネジメントスキルが必須だと言えるでしょう。自分自身の仕事管理はもちろんですが、社内外の関係者を取りまとめて、プロジェクト全体を適切にマネジメントしていかなければなりません。
【実はママさんにおすすめ!】SaaS営業で働くことのメリット・デメリットとは?
「SaaS営業として働いてみたい」と感じているママさんも多いのではないでしょうか。
この章では、SaaS営業のメリットとデメリットを紹介します。
SaaS営業のメリット | SaaS営業のデメリット |
・押し売り営業がない
・努力次第では市場価値の高い ・柔軟な働き方ができる |
・高いインセンティブは期待しづらい
・顧客に合わせた提案が難しい ・単発で大きく稼ぐことは難しい |
ぜひ参考にしてみてください。
SaaS営業のメリット
押し売り営業がない
1つ目のメリットは、「押し売り営業がない」ことです。
繰り返しになりますが、SaaSは「サブスクリプション型モデル」の商品であるため、継続的に利用してもらうことで利益が発生します。顧客との信頼関係を構築し、利用満足度を高めるために、常にサービスの改善を行う必要もあるでしょう。
「一度売って終わり」の商売ではないため、飛び込み営業や押し売り営業をすることはありません。「いかに商品を売り込むか」よりも、「いかに信頼関係を築けるか」が重視されるわけです。
努力次第では市場価値の高い人材になれる
2つ目のメリットは、「市場価値の高い人材になれる」ことです。
SaaS市場は世界的にも圧倒的な成長を続けており、今後、日本でもますます市場が伸びていくでしょう。しかしながら、まだまだSaaS営業の経験者は少ないのが現状です。
SaaS営業の需要が高まっているなか、供給が追いついていないわけです。ゆえに、SaaS営業経験者は非常に希少価値が高く、実績次第では、市場価値もぐんぐん上がっていくでしょう。大幅な年収アップやキャリアアップも期待できるかもしれません。
柔軟な働き方ができる
3つ目のメリットは、「柔軟な働き方ができる」こと。
SaaS業界におけるほとんどの企業は、新しい技術やビジネスモデルを積極的に取り入れているIT企業です。古い制度や考え方にとらわれず、時代にあった働き方を推奨しているケースが大半です。
「フレックスタイム制の導入」「テレワークの推進」「服装の自由」「副業の自由」など、様々な働き方を認めている企業が多いため、忙しいママさんにもピッタリだと言えるでしょう。「ライフスタイルを重視し、柔軟に働いていきたい」と考えている方は、ぜひSaaS業界を検討してみてください。
SaaS営業のデメリット
高いインセンティブは期待しづらい
SaaS営業のデメリットとして、まず、「高いインセンティブを期待できない」ことが挙げられます。SaaSは、長期的に継続利用してもらうことで利益を最大化していく商品なので、単発での売上額はあまり大きくありません。ゆえに、契約を勝ち取った際のインセンティブも比較的少ない傾向にあります。
- 外資系企業のような成果報酬を期待している
- インセンティブだけで年収1,000万円稼ぎたい
このようなイメージを持っている方は、物足りなさを感じてしまうかもしれません。
顧客に合わせた提案が難しい
「顧客に合わせた提案が難しい」というデメリットもあります。
SaaSビジネスは、「同じクラウドサービスを複数の企業に利用してもらう」というモデルで成り立っています。基本的に、顧客に合わせてサービス内容をカスタマイズすることはできません。
現状のサービス内容のみで、顧客のニーズを満たし、課題解決へと導く必要があります。「カスタマイズしてほしい」という要望があっても、それに応えられないので、人によってはもどかしさを感じてしまうでしょう。
単発で大きく稼ぐことは難しい
何度も説明している通り、SaaS商品はサブスクリプション型の料金形態であるため、中長期的に利益を回収していくことになります。
ゆえに、一発で大きく稼ぐことはできません。成約を勝ち取ったとしても、その瞬間の利益は小さいわけです。
例えば、不動産業界や商社業界のように、「売り切り営業で大きな金額を動かしたい」と考えている場合は、十分に満足できないかもしれません。
SaaS営業で得られるキャリアとは?
最後に、「SaaS営業で得られるキャリア」について解説します。一般的には、以下のようなキャリアを描くことが可能です。
- 営業職のマネージャーなど上級職へ就く
- 他の職種や他業界へ転身
- 専門家として独立
順に見ていきましょう。
営業職のマネージャーなど上級職へ就く
最もオーソドックスなのは、組織内で昇進を果たしていくコースです。
SaaS営業のプレイヤーとして実績を積み重ねながら、リーダーやマネージャー、部長や幹部職へと昇進していきます。
もちろん、どの職種にも言えることですが、管理職のイスは多いわけではありません。昇進・昇格して役職を上げるためには、何よりも営業パーソンとして実績を残すこと。そのうえで、リーダーシップやマネジメントスキルを身につけていくことが大切です。
他の職種や他業界へ転身
「他の職種や他の業界へ転身する」という道もあります。
SaaS営業で経験を積めば、マーケティングやコンサルティングの必須スキルである「論理的思考力」「課題解決能力」などが身につきます。そのため、マーケティング系の職種やコンサルタントなどへ転身しやすいと言えるでしょう。
希望する業界、自身のスキルを活かせる職種を選び、ぜひ理想的なキャリアを歩んでください。
専門家として独立
「専門家として独立する」という選択肢もあります。豊富な専門知識や高い営業スキルを持つ人材は、どの企業からも重宝されます。
雇用契約ではなく業務委託契約を結び、フリーランスの営業パーソンとして活躍することで、会社員時代よりも高い収入を得られる可能性もあるでしょう。もちろん、「収入が安定しづらい」「全てが自己責任」といったデメリットもあります。
一方で、「自分のペースで働ける」という大きなメリットがあるため、しっかりと仕事の管理ができれば、家事や育児との両立もしやすくなるでしょう。
まとめ
「SaaS営業の基礎知識」について分かりやすく解説しました。
SaaSとは「Software as a Service」の略称であり、「インターネットを通じて使用するクラウド型のソフトウェアやアプリケーション」を意味します。一般的な営業活動では、顧客開拓からアポ取り・商談、さらにはアフターフォローまでを一人の担当者が行うでしょう。
一方で、SaaS営業の場合は、インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセス・マーケティングと、担当分野が明確に分けられています。また、SaaS営業のメリットとデメリットをまとめると、以下の通りです。
SaaS営業のメリット | SaaS営業のデメリット |
・押し売り営業がない
・努力次第では市場価値の高い ・柔軟な働き方ができる |
・高いインセンティブは期待しづらい
・顧客に合わせた提案が難しい ・単発で大きく稼ぐことは難しい |
ぜひ当記事を参考にしながら、SaaS営業についてさらに理解を深めてください。